7話 決着と作戦会議






スーーハーーー

 深呼吸する。失敗は許されない。少しミスったら消し飛ぶし、奴隷になる。

 一発勝負の出たとこ勝負! 両手剣を鞘に収め、ナイフの持つとこを口に入れて駆け出す。



ついでに折り鶴を飛ばして目くらまし。あと少し。2、3歩で届く。構えた。来る!



「【紅炎拳】!」

「【ふひっふ】(スリップ)」


 ツルッ


「なっ!?」


 踏み込んだところを転ばせて炎の拳は上の方に飛んでった。




 倒れてるところに俺の両手両足を使って押さえ込み、口に咥えたナイフを顔の横の地面に叩きつける。


「ほふほはひはへ(ボクの勝ちだね)」

「締まんねぇな……まあ、オレの負けだ」


 勝った! ……よく考えたら折り鶴飛ばした意味無くね。もったいないことしたかも。


 相手の決め手のスキルが発動してから拳を振る動作まで入ってたから良かったけど、ノータイムの魔法とかだったら食らってたな。

 攻撃を察知して先に転ばせれるようにしなきゃ。反省。











「【契約】履行。これでオレら〘レフテスの楔〙はお前の傘下だ。よろしく」

「意外だね。もっと渋るかと思ったんだけど」

「オレはアマゾネスだからな。勝者が絶対なんだよ」


 やっぱりアマゾネスだった。てか、こいつらの組織名かっこいいな。レフテスがなにかは知らんが。


『特殊条件を満たしました』『スキル:【支配】を獲得しました』


 はい? 特殊条件とはなんぞや。 そもそもどんなスキルだ?



 スキル

【支配】ランク:レア レベル1

 服従した者を支配状態にする。



 特殊条件とやらは書いてなかった。支配状態が何かも説明不足だし。

 ゲーム内でも世界は甘くないってことだろ。最近分かってきた。

 このゲー厶は最低限しか情報を出さない感じなんだろう。ワクワクできるからいいけど。




「ん? オレのステータス、支配状態ってやつになってるな」

「支配状態がどんなのか知ってるするかい?」

「ああ、英雄譚とかだと魔王が使ってたな。配下と念話をしてる描写で出てきてた」

「やってみるよ」


 もしもし聞こえる?


「どう?」

「なんも聞こえなかったぞ」

「スキルレベルかな?」

「今いくつなんだ?」

「1」

「上げればできそうだな」

「じゃあ、上がったら念話おくるからそれまでは一旦お別れで、気をつけてね」

「そっちもな」















 村発見。なんか騒がしいな。行ってみよう。


 暇そうなおばあちゃんがいる。



「すみません、何かあったんですか?」

「ん? ああ、旅人かい? 近くの村が怪しい連中に滅ぼされたみたいなんだ。それで王都から兵士が派遣されているんだ」


 おっと? これはまずい。


「いつ頃来たんですか?」

「ついさっきだよ。昼前に着くなんてありがたいことだねー」

「そうなんですね。あ! 野営地に忘れ物してしまった。取ってくるので旅人が来ると兵隊の方々にも伝えておいてくれますか?」

「えぇ。構いませんよ。お気をつけて!」


 オレっ娘さん達に伝えねば!













 見つけた。


「おーい、オレっ娘さーん」

「なんだ? 忘れもんか? てかオレの名前はレネフだ!」


「へーそうなんだ。あ! そうそう、近くの村に王都から兵士が派遣されてるみたいだから伝えに来たんだったよ」

「ああ、想定内だから心配すんな。昨日の夜村が滅びてんだから来るだろうと思ってたよ」


 確かに。待てよ、こいつらと協力すればいけるのでは?


「ねえ、来てる兵に勝てる? 君たち」

「当たり前だ。ありゃ先遣隊だから余裕だぜ」

「なら早速ボクに協力して欲しいんだけど」

「いいぜ……なんて呼べいい?」

「呼び方か……ボスで」

「分かったよ、ボス。で、何すればいい?」


 うーん。どうしようか。俺が東に回り込んで退路を塞ぐか? いや、そうするとプレイヤーが西から来た場合、すごく怪しくなる。


 解放条件の村滅ぼしが作戦の立案だけで反映されるかってのも検証する必要があるから……


「ボクはここで待機して西から来る異界人や増援相手に対話で時間稼ぎをする。その間に、君たちは二手にわかれて1つが正面から落としに、もう1つが取り逃しがないように村を囲んで塞ぐようにお願いするよ。人員は足りるかい?」


「なんでするのかは気になるが、分かった。人員は他の拠点にもたんまりいるから問題ない」

「どうやって連絡を取っているんだい?」

「通信の魔導具だよ」


 そんなのもあるのか!


「なら相手にもあるかもしれんし、伝令とか通信しそうな奴から手早く倒してね」

「注文が多いな……了解だよ。10分後でいいか?」

「うん。よろしく」


 さて、西からはどれくらいの規模の部隊が来てるんだろう。頑張ろ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る