Ultimate Heart

MAGI

序章

 かつて“交代”と呼ばれる、地殻変動規模の大戦が起きた。

 地上の90%は焼き尽くされ、極僅かな土地の奪い合いが横行した百年。

 そのような時代でも、人類は根強く生きていた。


 “交代”が終結したのは2545年。“交代”勃発時の互いに争っていた国は糾合か消滅しており、最初の戦争の構図は当の昔に失われ、ただ争いが続いていた事に疲弊した国々、武装集団が全て集まり、ゲルス大島と呼ばれるかつての南米大陸に該当する場所で、“交代終結”を宣言した。


 どの国も、これ以上争える力を使い尽くして余力を失っていた。


 それから世界は、復興に向けて歩みを進めた。

 “交代”の開戦直後、我々の知る六大陸は変貌した。

 五大陸に減少し、惑星規模でも巨大化が進んだ。

 星の直径は膨張したのに質量に変化がないという謎の現象により、地球は有史以来の1.5倍の膨張を遂げている。

 そしていつの頃からか、呼び名も“地星”に変わっていた。


 人類自体にも、様々な変容が見られた。

 新生代の頃の人類は、ホモ・サピエンスの台頭により他種人類は淘汰され、一部はホモ・サピエンスのDNAに交わる事で形を残したが、“交代”終結後、見た事のない人種の出現により、世界は混乱した。

 耳が尖った人種、中背だが剛力を特色とした人種、他人種に対して徹底的に攻撃的な人種。

 ありとあらゆる見た目の人種が現れ、互いの淘汰が始まった。


 様相がさながら、21世紀初頭、とある国にて流行った“異世界”のようだった。


 西暦も3000年代に突入すると、ごく一部ながら、復興レベルは随分と上がり、平穏な空気が時折見えだした頃。

 3075年に、不穏な事件が起きる。


 多人種に対して徹底的に攻撃的な人種、人は“オーク”と俗称したその人種は、徹底的な破壊活動を行っていた。

 同様の人種であった“オーガ”と呼ばれる強力な少数民族を駆逐し、地星全土にて悪行の限りを尽くしていた。


 その年に、かつて幼くして軍に入隊、若干18歳で准尉の地位まで上り詰めた軍の鬼才が、最悪の運命に抗う。

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