第32話【レオン視点】

 どうもみなさんこんにちはレオンです。

 今日は現世で言われた衝撃的な一言から聞いてみたいと思います。

 それではどうぞ!

「――罪な男」

 うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 あかんて! こんなんあかんて! 

 俺のことを殺しに来てるやんか!

「!!!!」

 滑ったように漏れた響さんの一言に内心、暴風状態になってしまう。

 仏の顔も三度まで。

 いよいよ響さんの堪忍袋の緒が切れてしまったに違いない。

「あっ、いえ、なんでもありません!」

 いや遅いよ! もう完全に口に出して言ったじゃん! 罪な男って!

 女泣かせという意味でのそれなら甘んじて受け入れますけど、今回のは違いますよね⁉︎

 俺は最近の記憶を振り返ってみた。

 ①響さんを常にエロい目で見る

 ②幼女(リディアちゃん)にセクハラする

 ③働きたくないから【天啓】を発動

 シオンの潜在している才能『商売』覚醒 

 ④違う意味で幼女(シオン)覚醒

  人をダメにするおもてなし爆誕!

 ⑤誘拐される

 ⑥バックにいる神セブンを盾にイキる

 ⑦案の定、チンピラにフルボッコ

 ⑧みんなに救出してもらう

 ⑨それが原因でシオンを泣かせてしまう

 ⑩なんとか宥めるもヒモになることしか頭にないことが露呈する

 その他、

 懲りずに響さんをエロい目で見る

 俺の本性を疑い始めたレティファが王都に戻りたいと泣きついた

 男爵にもフルボッコ。権力に屈するなど。

 ――ダメだ。死んだ方がいい! 俺は生きちゃダメなタイプの人間だ! 

 カッコいいところが何一つねえぞ⁉︎ 

 さっきまでリディアちゃんのスカートに潜って頬ずりしようとか考えていた豚だしな。

「あくまでたとえ話として聞いてください。もしも私がこの孤児院から出て行くと申し上げたら――」

 それはりゃめええええええええええええええええええええええええええええええええ!

 見限られた! いよいよ勘当だ!

 いや、そりゃそうでしょうよ。思い返してもどこのクズ野郎だと思っちまったぐらいだ。一体どこの世界にリディアちゃんのパンツを覗きたい変態がいるんだ。あたいだよ!

 まさかレティファと一緒に出て行くつもりだろうか? そんな殺生な!

 響さんの口から発せられた孤児院から出て行くという言葉に平常心をガリガリ削られる。

「――大変申し訳ございませんでしたあああああああああああああああああああああ! もう二度と勝手な真似はしません。ですから、それだけは! それだけは考え直してくれませんか⁉︎ お願いします!」

 よし。君に決めた! 出てこいレオン七つ道具! 『土下座』!!!

 クソが! 最近マジで頭を下げることしかしてねえな俺! 

 だが、こんなどうしようもない変態クソ野郎を構築することになった頭で良ければいくらでも下げてやる!

 俺にはまだやり残したことがある!

 両手をバンザイする響さんの服を脱がして、ブラホックを外すという夢が!

 響さんにJKコスしてもらって「レオンくん」と学生プレイする夢が!

 危険日に無責任ピーしたあと、責任を取るために求婚する夢が!

 神セブンを成人まで育て上げ、寄付を募りながら豪勢な食事を美人・美少女にあーんしてもらいながら、夜も楽しむという夢が!

 こんな……こんな志半ばで沈むわけにはいかない! 男には絶対に負けられない戦いがあるんだ! 

 たいていこういうナレーションを耳にするときは破れているのが様式美ではあるけど。

「とっ、突然どうしたんですかレオンさん⁉︎」

 怖! マジで怖! 女は怒らせたら怖いって本当じゃん。

 突然どうしたんですかだって? 貴女って人はわかっているくせにそれを聞きますか!

 幼女に養ってもらうという、己の欲望を満たすため、【天啓】でシオンを危ない方向に覚醒させてリディアちゃんのスカートの中に潜ろうとしたからです、とでも言えと?

 んなこと恥ずかしくて口に出せるかよ! 拷問じゃねえか⁉︎

 いや、だからこそ。だからこそなのか?

 響さんは俺に「さあ、お前の罪を数えろ」とおっしゃっておられるのか?

 犯した罪の数なんて多過ぎて数えてませんよ! 少なくともパンチラ、胸チラを視姦した数は三桁に登ります。

 幼女と戯れているときの貴女、ちょっと隙が多過ぎませんかね⁉︎ 

 ちょっぴり胸元が緩めの服で誘惑しやがって! 揉ませてよ! 

 間違えた! 

 鷲掴みにさせてよ! 違う! また間違えた。くそう。どうして俺はこんな状況でもドスケベなんだ。

 こんな俺に魅惑な谷間や重力に負けた乳を覗かせてくる響さんの方がよっぽど、

「いやらしいですよ」

「!!!!」

 おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!

 なーに言っちゃってんの俺⁉︎

 ほらっ、あの響さんが顔を真っ赤にして、

「いっ、いやらしいことなんて考えていません!!!!! ふっ、ふふ、ふじゃけにゃいでくだしゃい!!!!」

 大・激・怒! 全く予期していなかったのか、慌てふためく様子も確認できる。

 ……そうですよね。「お前の罪を数えろ」と説教しておきながら「お前もエロいから罪」とか言われたらブチギレますよね。

 というか、いやらしいのは俺ですし。

 あー、こりゃ覚悟しないといけないかもしれませんね? 

 えっ、何を? いやだなーもう、言わせてないでくださいよ。

 そんなの決まっているじゃないですか。

 生きることを、ですよ。

 とりあえず噛み噛みの響さんも可愛い。

 もしかしてあんまりそういうことに不慣れなのかな?

 経験豊富なお姉さんに手ほどきされるのもありよりのアリだけど、意外とうぶなお姉さんも素敵だ。

「いっ、言っておきますけど私の承諾もなく、シオンを覚醒させたことを根に持ってますからね! 本当にいいかげんにしてくださいレオンさん!」

 はいすみません。マジすみませんでした。

 それに関しては申し開きの仕様もございません。

 瞳孔を見開きながら「おもてなし……おもてなし」と呟く少女を生み出してしまい本当に申し訳ございませんでした。

 すごく反省しています。

 だからその――命だけはご容赦願いでしょうかね⁉︎

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る