第27話 カオル③

 人は、年齢を重ねるごとに狡猾こうかつな性格になっていくのだと誰かから教わったことがある。だとすれば、参加者の中で最年少の私は、他のどの死刑囚よりも、正直な人間だといえるんじゃないだろうか。


 そんなことを考えていると、誰かからのチャットが飛んできた。ワタルからだった。


【僕からの提案なんだけど、協力し合って最後まで生き残らない?もし、承諾してくれるなら、返信してね】


 シンプルなメッセージながら、ワタルは自分の用件を的確に相手に伝えられている。また、サトルみたいに、同じ内容のチャットを何度も送ってこない。だから、私は、ワタルの提案に乗ることに決めた。

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