第16話、家を買おうか

ギガンテスの討伐処理も終わり、俺たちは宿でくつろいでいた。


「あーあ、これで風呂があれば最高なんだけどな」


「風呂って?」


「この国にはないみたいなんだが、俺の国ではお湯につかる習慣があってな。

こういう、疲れたときなんかゆっくり浸かると気持ちいいんだ」


「それって、出汁をとるの?」


「違う違う、単純に浸かるだけだ」


「それくらいなら、私の土魔法と火魔法でできると思うけど」


「裸になるんだぞ。

どこでもいいってわけにはいかないだろ」


「沐浴みたいなものね」


「沐浴なんてあるのか」


「聖騎士は体を清めるのに聖水に浸かるのよ」


「それって、衣装を着たままだろ」


「当り前じゃない」


「違うんだよな。

あの解放感はわかんねえだろうな」


「露出狂?」


「ちげーよ!」


「変態?」


「うっ……」


「そこは否定できないのね」


「若干、思い当たる部分もあるな……」


「あるのかい!」


「おめーに言われたくねえよ」


「あら、やーだ。何のことかしら」


「オネエは可愛いからいいのよ。

変態のオジサンなんて需要ありませんから」


「ぐっ……」




俺たちはギガンテスを含めて、Aクラスの依頼を受けまくった。

そして、俺たちは揃ってAクラスに昇格した。


「Sクラスも受注できるようになったんだが、Sは難易度が桁違いらしい。

当面はAクラスで行こうと思うんだがどうだろう」


「それでいいんじゃない。

別に困っているわけじゃないしさ」


「それよりも、この際だから家を買っちゃったほうがいいんじゃないかしら」


「家なんか買えるもんなのか?」


「借りてもいいんだけど、返す時に面倒だからね。

自分たちの家なら、おじさんが言ってた風呂っていうのも作れるよ」


「よし、家を買おう!」



俺たちは商業ギルドに行き、手ごろな物件がないか問い合わせた。


「今、空いている物件ですと、商店が3軒と貴族の別荘が2軒ですね」


「貴族の別荘って、いくらぐらいなんですか?」


「金貨1000枚と1200枚です。

ちなみに、商店なら金貨500枚ですけど」


金貨1枚を5万円で換算すると5千万円になる。


「分割払いはできるの?」


「失礼ですが冒険者様ですよね」


「はい」


「Aクラス以上なら分割もお受けできるのですが」


「一応、全員Aクラスです」


「でしたら大丈夫ですよ」


俺たちは下見させてもらうことにした。

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