犬系彼氏が強くちゃだめですか?

水天使かくと

第1話 君に守られる僕


僕の彼女は空手が好きだ 。

しかも一応…有段者で強い!


昔から習っているからかなり強い!

僕はそんな彼女が大好きだ !


僕は小柄でひょろっとしてみられることが多く…中性的な甘えたい男子…いわゆる犬系男子とよくいわれる…。


僕自身…そんなつもりは全然ないんだけどね。


彼女は1つ年上なんだけどとっても面倒見が良くてほっとけないのか…いつも守ってくれる 。

だから僕もついつい彼女に甘えてしまう …

今は甘えられることがとても心地いい…。


そして最近…彼女はある道場にいつも通っている 。


僕はその道場に行くのは嫌だ…

実は ちょっと複雑な理由があって …



それはさておき 今日も彼女と一緒に帰ろうと思う!

それが僕の唯一の楽しみだ!

彼女は 帰り支度できてるかなー ?


「ねぇねぇもう帰れる?一緒に帰ろう? 」


「そうだね !今日、日直だから日誌書き終わったら一緒に帰ろ?それまで待ってて! 」


こんな何気ない会話 に僕はすごく幸せを感じている!


屈託のない笑顔で話す彼女はとっても可愛い !


年上だろうがなんだろうが…それを 感じさせないところがまたいい!



空手のことがなければ…の話なんだけど…。



強い彼女もいいんだけど…本当は僕が守ってあげたい設定も考えたけど…なんかこの設定におさまってしまった…はぁ…。


いいんだよ…いいんだけどね…


彼女の空手となるとあの強いパワーにどうしてもおされてしまうんだよね…。



「 お待たせ!じゃあ帰ろう!」


「 途中でどこか寄って行く? なんか食べて帰ろうよ。僕お腹すいちゃった!」


「ごめん…私このまま道場に行こうかと思って…。」


と拝むように謝る。


「はぁ?また?最近いつもあそこの道場にかよってんじゃん…なんで?」


「あそこの師範…とっても強くてカッコよくて私の憧れなんだよね…。」


「ねぇねぇ…それって僕に言うことじゃないでしょ! 僕…一応彼氏なんだけど ?」



「いや…あの…別にそういう意味じゃ…尊敬してるって言う意味 。勘違いしないでよね !」


こんな調子だけど空手のことになるとちょっと焦って弁解をする彼女も案外かわいい!


というわけで…僕の彼女はその道場の師範とやらに憧れと尊敬の念を抱いてるらしい。 僕という彼氏がいながら…複雑だ…。



そんなやりとりをしながら帰り道を歩いていると、 ここいらで番をはってるちょっと名の知れた不良グループ3人が道幅いっぱいに広がって騒ぎながら歩いてくる。


なんか嫌な予感がするなあ …


極力こんなのと関わりたくないんだけど…。


「あの真ん中のリーダーの彼…私知ってるよ。空手の有段者…しかも黒帯で名のある大会で何度も優勝してるやつ!」


彼女の顔からはすっかり笑みは消えていてその黒帯とかいうやつの顔をじっと見据えていた。


「ふーん…そうなの?それマジヤバイね…。」


「しかもやることなすこと容赦なく最低で…。試合でももう勝ちがわかってるのに相手の怪我してる場所をねらったり、空手を喧嘩の道具に使ったりね…しかも表沙汰にはならないようにね…。」


彼女が両拳をプルプルと握りしめながら…


「私…大好きな空手を…喧嘩の道具にされるのだけは…絶対に許さない!」


僕は彼女のこういう正義感の強いところもまた…好きなんだよなぁ…。


「そうだね…でも…極力かかわらないようにしようよ。せっかく一緒に帰ってるんだから…ね…楽しい時間を大切にしよ。」


実は彼女の気持ちはよくわかっている。

僕もあいつのことは知らない訳じゃない…



あれこれと考えいる間に…気を付けていたのに彼らの嫌がらせなのかは不明だが…案の定 …不良グループの1人と肩が当たってしまった。


「なんだこら!いてえじゃねえか!」


「ごめんなさい…すいません…悪気はなかったんです…。」


僕はややこしいトラブルは避けようと思いひたすら謝ろうと決めていたのに…

なのに…彼女が…。


「ちょっとやめなさいよ! どう見てもあなた達の方が悪いじゃない!広がって歩く方が危ないわよ!」


あっちゃー言っちゃったよ…


「ま、ま、ま…落ち着いて…ね…。もう行こ。ほんとすいませんでした…。」


と僕は彼らに謝り、彼女の肩をつかんで引き寄せた。


彼女が「なんでよ!」と納得してないままだったが僕は「行こう。」彼女の手を引っ張って行こうとした時だった…。



「ちょっとまて!」


と僕の彼女のもう片方の手首を掴んだ。


「お前らが気を付けねぇからだろう…前方不注意じゃねーの?イチャイチャしてるお前らの方がよっぽど迷惑になるんじゃねえ…。」


「ちょっ…痛い…。」


気づいたら僕は…彼女の手首を掴んでいるヤツの手を振り払っていた。


「彼女に触るな!」


「いってぇなぁ…お前…何?俺とやろうっての?そのなりでか!」


とヤツが言うや否や…バチーン!


彼女がヤツをひっぱたいた!!


「あんたは早く行って!そして助けを呼んできて!私は大丈夫だから!」


そう言って彼女はヤツのふところに飛び込んでみね打ちした…

少し怯んだヤツに華麗な回し蹴りをしたが軽くかわされてしまった…。


しかもそのまま腕を後ろ手に絞められヤツに捕らわれてしまった!


「あんた…可愛い顔してんのに見たところ…空手の有段者か…なるほど…残念だったな…そんな蹴りじゃあ俺には当たんねぇよ!」


ヤツは彼女の頬のすぐ横でさらにしゃべりつづけた。


「あと…ピンク色の下着がいいねぇ…そそるわぁ!なぁ…あんなヤツやめて俺の女になれよ!俺…強い女がすきなんだよ…。」


彼女は見られた下着が急に恥ずかしくなったのか…顔を赤らめて戦意をなくしてしまったようだ…。




「はぁ…せっかくこのまま穏便に立ち去ろうと思ったんだけど…もう我慢の限界!

とにかく…僕の彼女を早くはなしてくれるかな…そんな汚い手でさわってんじゃねぇよ!」


僕がキレたらこうなるっていうのは…もちろん彼女も知らない…。


そして僕が実は空手の達人だってこともね!



「ほう!おもしれぇじゃねぇか!じゃ、お前に相手してもらおうか…ただし…俺は手加減はしない…一切な!」


といい彼女の手を離し仲間の2人に見張らせた。


「やめて!あんたじゃ勝てるわけない!それどころか大怪我しちゃうわよ!」


「大丈夫だよ!僕が君を守ってあげるからね!それに君に触ったこいつは絶対にゆるさない!」


「何いってんの?勝てるわけないのに…」


彼女は諦めと落胆の中…全身の力がぬけたようでヘタヘタ…と座り込んでしまった。


「あんたの彼女はああ言ってるが…やめないんだな?」


「当たり前だ!」


「じゃあ…1つ賭けをしようぜ!万が一あんたが勝ったら彼女は返して望みをきいてやる!そして俺が勝ったら…彼女は俺の女だ!どうだ?やるか?」


「あんた…どこまでもゲスいやつ!そうしないと納得しなさそうだもんな…いいよ…それで!」


「よし!後悔しても遅いからな!」


そのやりとりを聞いて声もでなさそうだった彼女にいった…


「勝手にごめんね…でも僕…我慢できないっていったでしょ!そろそろ君にちゃんと言わなきゃって思ってたからいい機会かも!だから…ちゃんとみてて!」


と言うや否や…


「何ごちゃごちゃいってんだよ!」


とヤツが殴りかかってきた!




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