新しもの好きの父
私の父は新しい機械が好きである。
私がこの世に生を受けた頃には既にファミコンが家にあったし、パソコンのOSは常に最新、部屋の一角を占める大きな機械は、父が学生時代に初めて買ったレコード再生の機械だという。
「DVDプレーヤー買うてん」
これは私が独り暮らしを始めた頃。
「PS3買うてん」
これは私が未来の旦那と同棲を始めた頃。
「BDプレーヤー買うてん」
これは初孫を見せに行った頃――、つまり田舎に帰る度自慢話ばかりされるのだ。
最近は電話でよく聞かせてくれる。
「VR買うてん。もうあんま目も見えんけど、やっぱりゲームはええな」
「自律思考型アンドロイド買うてん。俺も年やからな」
「お父ちゃん、何なら一緒に暮らす――」
自慢に自虐が混じり始めた頃、私は思いきって提案した。
「いやええよ。機械の身体買うてん」
電話越しの声に慌てて帰った田舎では、アンドロイドと一緒に並んで笑う、父型の機械がいた。
「やっぱ新しいものはええな」
私の父は、大好きなゲームと機械に囲まれて、長い余生を過ごすのだろう。
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