水底
明けない梅雨はやがてこの国を水上国家に変えた。数々の文化遺産は水底に沈み、人々は繋ぎ合わせた船の上で暮らした。やがて文化や国柄は変わり、かつて存在した地上の国のことなど忘れられてしまった。
ある時一人の若者が海の底に興味を持った。船に一つのボトルが、見馴れぬ文字で書かれた手紙入りのボトルが流れ着いたからだ。人々は作り物だろうと笑ったが若者は海の底へ潜り込んだ。そして見つけた。そこにあったのは朽ちた遺跡などではない。一つの海底国家であった。「いらっしゃい」 美しい女性が笑う。ずっとここで国を守り続けていたらしい。
名を聞いた。彼女は笑って「乙姫」と名乗った。
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