　元々、世界（haLth）は、表側（オンダ）と裏側（ツナミ）の二面に分かれ、両者がお互いを知りながらも完全な別世界となるはずだった。

　しかし、姉（ミュー）の捨てきれない音への憧れと、覚悟の上とはいえ姉（ミュー）から世界（オンダ）と音を奪い取ってしまった妹（マリネ）の自責の念が、交わるはずのなかった世界にひとつの繋がりを生み出した。

　妹（マリネ）が変化した大樹の根は、地中を介し裏側（ツナミ）にも達していた。その根を伝い、表側（オンダ）に満ちる音が無音の世界へと流れ、それに引き寄せられたカーラが音を知ってしまうことが原因で、表側（オンダ）に移ってしまう事がある。

　"残響（ざんきょう）"と呼ばれるその現象は、表（オンダ）と裏（ツナミ）、ひいてはミュー（姉）とマリネ（妹）の変わらぬ絆と捉えらえているが、大原則の異なる世界へ放り出されてしまったものは、大抵は命を落としてしまい、表側（オンダ）に来たカーラの場合は、具象化の法則に適応しきれず、歪んだ形の怪物－魔物（ゾォイン）と化してしまい犠牲者を出すこともあるなど、人々からは恐れられた事象と見なされている。