なにげなく、同級生の女の子を、AIと3Dプリンターの力を借りてクローンで作ってみたら成功しちゃった件
楠本恵士
第1話・ハッピーバースデー♪銀子
高校生の銀子は、背中側に浸された液体の感覚に、目を閉じたまま意識をとりもどした。
(んっ? なんか背中側に水が?)
目を開けた銀子の目に最初に飛び込んできたのは、部屋の小汚ない天井だった。
(どこ? ここ?)
ホコリを被った室内灯が見えた。
銀子の視界の隅に、顔の高さ〔二十センチ〕くらいまでの、金属の板が両側にあるのが見えた。
赤い液体に浸された指先を少しだけ動かしてみると、指が金属の板に触れる。
足も少し横に広げてみても、指先が金属の板に触れた。
銀子は仰向けの格好で、体を囲う銀色の長方形をしたトレイのような浅い場所に寝かされ。
耳の裏くらいまでの水位がある赤い液体に、浸されていた──全裸で。
(なにこれ? なんで、あたし裸で?)
困惑している銀子の耳に、聞きなれた男子高校生の声が聞こてきた。
「あっ、起きた……」
銀子の顔を覗き込む、白衣を着た男子高校生の顔が、銀子の視界に飛び込んでくる。
「気分はどう? 銀子、でいいのかな?」
「怪しい科学部部長の、
「説明的な第一声ありがとう、どうやら記憶はあるみたいだね……良かった、無垢な赤ん坊の状態から学習させるコトになったら、どうしょうかと心配した」
銀子から顔を離した、才演はタブレットカルテのようなモノに何やら、記入している。
「まぁ、無垢な銀子を赤ちゃんの段階から学習していって、自分好み色の銀子に仕上げるのも、楽しいかも知れないけれど」
「あんた、なに言ってんの? もしかして、ここあんたの部屋」
「うん、そうだよ……銀子は僕の実験部屋は初めてだったね、寝室は別にある……銀子、体を起こせる?」
「起きれるに決まっている……」
裸で上体を起こした銀子は、自分のヘソを見て顔色が変わり動きが止まる。
銀子のヘソには、ヘソの緒のような半透明の生体管が繋がっていて、生体管の先は電子ポットのような円筒の容器に接続されていた。
裸の胸を手で隠して銀子が震える声で言った。
「なにこの管……あたし、なんで裸? あんた、あたしに何をしたの!?」
才演は、銀子の質問には答えずに。
「もう、外しても大丈夫だね……二度目の誕生日おめでとう銀子」
そう言って才演は、銀子のヘソと繋がっている管を引っ張った。
管は果物のヘタが抜けるように、ポンッと銀子のヘソから外れた。
銀子が、少し広がり気味のヘソの穴を、頬をヒクヒクさせながら見ていると才演が言った。
「上手く抜けたね……出ベソにならなくて良かった。おヘソの拡がった穴は
才演が差し出したバスタオルを体に巻いて、裸を隠す銀子。
ワナワナと震える銀子は、才演を睨みながら問う。
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