第194話 鱗大嵐
スケイルワイバーンの体から剥がれ落ちた鱗が、一斉に俺たちのほうに向かって飛んでくる。
【スケイルストーム】
【スケイルワイバーンの体から剥がれ落ちた鱗が、指向性をもって対象へ放たれるスキル。広範囲攻撃で高火力ではあるが、全身の鱗がなくなることで防御力が低下するというデメリットがある。】
大量の鱗はあっという間に俺たちを包み込むように周囲を飛び交う。
『囲まれたな』
「全方位からってのはキツイね、お兄ちゃん」
上も下も横もすべて逃げ場がない。
これらをすべて防ぐのは、ウォール系の魔法では無理がある。
あれは一方向からの攻撃を防ぐ壁を作る魔法だからな。
【ファイアーウォール】や【サンダーウォール】は、実体のある攻撃には相性があまり良くないというのもあるが。
だからといって、あの膨大な鱗の数々を単発魔法で相殺しきれるわけもない。
スケイルワイバーンが鱗を失っているうちに攻撃を加えたいが、そうはいかないか。
俺たちの周囲で荒れ狂っていた鱗が、一斉にこちらへ向かってきた。
『しっかりつかまれよ!』
「うん!」
『【フレア】!』
俺は下降しながら、進路先に【フレア】を炸裂させる。
一部の鱗が爆発に呑み込まれ、通り道ができた。
他の鱗が飛んでくるよりも先にその穴を通り抜けて下降すると、鱗の嵐が俺の後ろを一斉に追尾してくる。
指向性をもって対象者を追尾するのは強力だが、ただ俺の後ろをついてくるだけならいくらでもやりようがあるぜ。
そのまま地表付近まで急降下したところで、今度は前へ直進する。
「【ウィンドウォール】!」
『【ファイアーウォール】!』
後方へ二つの壁を生み出す。
俺の後ろを追尾してきた鱗は、もれなくすべて二重の壁にぶつかることとなった。
まずは上々。これでいくらかは無効化できたし、まだ追尾してきている鱗は威力が落ちている。
あとは最後の一手を加えるだけだ。
『【煉獄】!』
俺の後ろの地面に魔法陣が浮かび上がり、次の瞬間には獄炎が噴き上がる。
【ファイアーウォール】よりも威力が高い【煉獄】なら、残った鱗をすべて無効化してくれることだろう。
一気にスケイルワイバーンに近づいて、決着に持ち込んでやるぜ!
俺の読み通り、獄炎の柱に巻き込まれた鱗は一つ残らず相殺されていった。
『【プラズマアロー】!』
滞空しているスケイルワイバーンに向かって、牽制程度に魔法を放つ。
簡単に躱されてしまったが、この隙にちょっとでも距離を詰められれば御の字だ――と思ったのだが。
「グォォォォオオオォォオオオオ!!!」
スケイルワイバーンが咆哮を上げた瞬間、再生されたばかりの鱗が一斉にまばゆい光を放ちだした。
「『う……!』」
なんちゅう眩しさだ……!
太陽の直射日光を直接見るとか、そんなレベルじゃない眩しさなんだが!
目を閉じてても、それでも眩しすぎる!
まさか再生直後に発光する鱗にこんな効果があったとは……!
視覚は潰されたが、他の感覚は問題ない。
虹色に光り輝く世界の中で、俺の耳が風切り音を捉えた。
どうやら、近接戦に持ち込んで一気に終わらせる気のようだ。
ここが勝負の分かれ目なのは間違いない。
素早さは俺のほうが高いから光が収まるまで逃げるのは可能だが、それをすればもう一度【スケイルストーム】が飛んでくるだけだ。
そうなれば、ガードに徹したこちらが一方的に魔力を消費するだけだ。
魔力が尽きて鱗の嵐を防ぐ術がなくなったところで、近距離戦に持ち込まれて滅多打ちにされる未来しか見えねぇ。
相手が高い機動力を有する以上、遠距離攻撃で仕留めるのもまた難しい。
鱗の嵐から逃げ回りながら、魔法攻撃で倒すというのは不可能だ。
結局のところ、近接戦でスケイルワイバーンをブッ飛ばさないといけねぇわけだ。
【スケイルストーム】が飛んでこない今の状況で、スケイルワイバーンの思惑に乗るのが最善手となる。
そして、一番のネックであるこの眩しすぎる光に対処することは可能だ。
『ルナ!』
「準備完了!」
ルナが闇魔法を発動した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます