第92話 決着とおいしい昼飯

 炎の壁が出来上がり、中から暗殺蛇の悲鳴が聞こえてきた。

 どうやら、プランその②はうまくいったようだ。

 暗殺蛇が困惑してる今のうちに一気に近づいて、前と同じように物理ダメージで倒し切ろう。


 今まさに燃え盛っている炎の中に勢いよく飛び込む。

 疑似【ファイアーウォール】はそれなりに威力があると思うけど、【炎属性耐性Lv8】のおかげでちょっと熱いなくらいにしか感じない。

 長時間いてもあまりダメージにならなそうだし、炎の中に暗殺蛇を引きずり込んで攻撃するのもいいかもしれないな。


 炎の壁に囲まれて困惑している暗殺蛇の背後のほうから、炎の中から一気に飛び出して尻尾に爪をくい込ませて捕まえる。


「シャ!?」


 暗殺蛇が驚いている間に、一気に引っ張って炎の中に引きずり込む。

 その場に【フレア】を放って炎の火力を上げたあと、暗殺蛇の尻尾をつかんだまま振り回して地面に何度も叩きつけた。


 この攻撃の仕方って自分でも思うが結構非道だよな。

 まあ、これが暗殺蛇相手では一番効率よくダメージを与えられるので仕方ないが。

 他の方法だと、相性の問題だとか【毒牙】に気をつけないといけなかったりとかで、倒すのがとても大変だからな。


 【フレア】の炎の中に入ったのは何気にこれが初めてだから今知ったが、【フレア】レベルの火力になると俺も自傷ダメージで体力値が少しずつ減っていっている。

 その速度は、【ファイアーボール】の炎よりも圧倒的に早い。

 【炎属性耐性Lv8】でこれだと、暗殺蛇のほうはかなりダメージが入ってるだろうな。

 暗殺蛇を倒す目的のひとつを達成するためにも、もう炎の中から出しておいたほうがいいな。

 下手したら、全身真っ黒こげという前回の二の舞になる。

 というかもうなっているかもしれない。


 そう思って炎の中から暗殺蛇をつかんだまま出てきたが、すでに結構危ない状態だった。

 【フレア】の炎の中にいたことで、全身の鱗がかなり炭化していた。

 これ、かなりギリギリの状態だな。

 目的が達成できるか、かなり不安なところだな。


 【鑑定】したところまだ体力は残っていたので、【ファイアーアロー】を頭に突き刺してとどめを刺しておいた。

 鱗が炭化しかけてた影響か、結構あっさりと刺さってくれたな。

 地面に叩きつけまくった衝撃と炎によるダメージで、すでに満身創痍になって意識を失っていたのも楽にとどめを刺せた一因だろう。


 なんにせよ勝つことができた。

 前よりは楽に倒せたし、【サンダーウォール】や【放電】を実戦で試すこともできたので、今回の成果は上々だ。

 レベルもそれなりに上がっているだろう。


 暗殺蛇を倒す目的のほうも気になるが、先に暗殺蛇の称号にあった【熱海温泉】について【鑑定】に聞いておこう。

 戦闘とは一切関係ないから放っておいたが、何気にすごく気になってるんだよね。

 どうして、あんな称号があったんだ?


 【いやー、熱海温泉に行って休みたいですね。こんな仕事ほったらかして。】


 あー、やっぱりそういうことか。

 ある程度予想はできていたけど、やっぱり【鑑定】の中の人の気分で適当につけられた感じか。

 というか、【鑑定】の中の人って俺以外にも称号つけたりできるんだね。

 ものすごくどうでもいい情報だけど。

 あと、仕事はちゃんとしろよ。


 それでは、本題の暗殺蛇を倒す目的その②だな。

 簡単に言うと、『暗殺蛇が食用可能か?』というのを知りたい。

 もしも食べられるようなら、今倒したコイツを昼飯にしよう。

 それじゃあ、暗殺蛇は食べることができるか?


 【食用は可能でそれなりに味はいいほうなため、人間の間でも食べられている。】


 やっぱり食用は可能なんだな。

 地球でもハブなんかは食べることができたので(結構おいしいらしい)、暗殺蛇が食用可能でもおかしくないとは思ってたが見事に当たっていたな。

 それなりにおいしいというのは、なかなかありがたい。

 蛇肉はさっぱりしていて鶏肉みたいだという話を何度か聞いたことがあって、それで蛇肉に興味があったんだよ。

 それがまさか、異世界で食べられることになるとはな。

 あと、食べる理由には貴重なたんぱく源だからというのもある。


 暗殺蛇の頭を切り落としたあと、鱗を落としていく。

 鱗が炭化しかけているおかげで、すごく楽に落とすことができた。

 肝心の肉はちょっと火が通り過ぎているけど、焦げたりはしていなかった。

 魔法に強い耐性のある鱗のおかげで、中の身まで火が通りきってなかったようだ。

 暗殺蛇の鱗に感謝だな。


 身の部分を切り取ったら、すぐにいただく。

 皿などないし地面や石の上に肉を置くわけにもいかないので、切り取った肉を手で持ってそのまま食べることになった。

 行儀は悪いが、今の状況的に仕方ないだろう。


 さっそく一口食べてみる。

 味はさっぱりしていて、鶏肉と言われても納得できるものだった。

 だが、鶏肉とは違う独特の旨みが口の中に広がってくるので食べ応えも抜群だ。

 火が通り過ぎていなかったら、もっとおいしく食べることができただろう。

 そうなれば、ワンチャンこっちのほうが鶏肉よりおいしいかもしれない。

 前回戦った時に真っ黒こげにしてしまったのは、かなりもったいないことをしたな。

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