第61話 キモいネズミの群れと久しぶりの川釣り

 もしかして俺の目は悪くなったのだろうか?

 俺の巣の周りをネズミが取り囲んでるように見えるんだが、気のせいだよな?

 百匹以上いる気がするんだが、絶対見間違えだよな?


 ……現実逃避するのはやめよう。

 今、俺の巣の周りには大量のネズミが群がっている。

 百匹以上ひしめき合っていて、めちゃくちゃ気持ち悪い。

 しかも、そのうちの何匹かが木を登ろうとしている。


 もしかして、巣の中にある木の実が狙われてるのか?

 てか、あのネズミは何なんだよ!


 【スティールマウス Gランク】

 【群れで生活しているネズミの魔物。雑食で何でも食べる。特に木の実が好物。他の魔物なんかが貯めた食料を盗むことが多い。大して強くないが、ピンチになると胃液を吐きかけてくる。やたら臭いから注意しよう。一度盗みが失敗すると、すんなりとあきらめることが多い。】


 これは間違いなく木の実が狙われてるな。

 それ以外ありえない。


 って、そうじゃねえ! 

 早く追っ払わねえと俺の食料が食われちまう!


「ピュェ!」


 なんか変な声が出た。

 というか、一斉にこっち振り向くの怖いからやめろ。

 軍隊かなんかかってレベルで揃ってたぞ。


「ヂュヂュゥ!」


 ネズミの群れの中から、ほかのよりも大きな個体が出てきた。

 多分群れのボス的なやつだろう。

 他のと同様、気持ち悪い見た目をしている。


 【鑑定】したら、種族名がスティールヘッドとなっていた。

 やっぱりこいつがボスで間違いないようだ。


 それにしても、ボスの種族名にヘッドねぇ。

 配下からは、「かしらぁ~」とでも呼ばれるんかな。

 こいつら盗みの常習犯っぽいし、賊っぽさがさらに増したな。


「デゥー!」


 ヘッドが変な声を出したあと、黄色っぽい謎の液体を吐きかけてきた。

 これが胃液を飛ばしてくるという攻撃だろう。

 避けるのは簡単だったけど、胃液が臭すぎて精神的にきつい。

 何食ったらドブより臭い胃液ができるんだよ。


 巣の近くに胃液をまき散らされるわけにはいかないので、【サンダーボール】をネズミの群れの近くにぶち当てた。

 今の一撃でかなわないと思ったのか、ネズミの群れは散り散りに逃げていった。

 多分もう来ることはないだろう。


 巣の中を確認するが特に減った様子もないから、多分何も盗られてないだろう。

 あとはくっさい胃液の処理だけだ。


 【ファイアーボール】を放って、胃液を燃やし尽くす。

 これで除菌はできたはずだ。

 臭いもなくなったので、もう大丈夫だろう。


 今日は結構疲れたし、もう休むか。

 これ以上レベル上げをするような気分でもないしな。






◇◇◇◇



 アサシンスネークと戦ったりネズミを追っ払ったりしてから、もう一週間が過ぎた。

 この一週間は特に強い敵に遭遇したりすることもなく、平和にのんびりと過ごすことができた。

 一応レベル上げは毎日かかさずやっていたが、芋虫やカマキリぐらいしか遭遇してないのでほとんど上がっていない。

 Cランク台を相手にするのは無謀なので、アサシンスネークと戦ったところあたりまでを探索したわけだが、Dランク台の強い魔獣と遭遇することはなかった。

 レベルは一週間前が32で、今は34だ。

 芋虫やカマキリではもらえる経験値が少なすぎるので、レベルが2上がってただけでもいいほうだ。


 今日はいつもと同じように川に来ているが、久々に手作り釣り竿を持ってきている。

 一週間ちょっと木の実ばっかり食ってたから、久々に魚を食べたい気分なんだ。

 今日は一日中釣りをしよう。

 餌の芋虫もすでに見つけて確保してあるので、すぐに釣りを始めることができるぞ。


 餌の芋虫を細かく切っていく。

 ちなみに、餌はグロ芋虫のほうだ。

 針の先に餌を刺したら、さっそく川に投げ込む。

 あとはのんびりと待つだけだ。


 しばらくボ~っとしながら魚がかかるのを待っていると、クイっと餌が引っ張られる感触があった。

 さっそく魚がかかったみたいだな。

 釣りあげたら、前と同じレインボーフィッシュがかかっていた。


 そのあとも釣りを続け、最終的にレインボーフィッシュを五匹釣り上げることができた。

 これ以上釣っても食べ切れないので、釣りはやめてここからは調理のほうをしていく。


 あらかじめ血抜きをしておいたレインボーフィッシュを、三枚おろしにしていく。

 全てのレインボーフィッシュの下処理を終えたら、あらかじめ枝などを集めておいたところに火をつける。

 相変わらず魔法ひとつで火をつけれるのは便利だ。


 前と同じように低温で焼いていく。

 一分ほど経ち、いい感じに焼けたところで火を止める。

 これで完成だ。


 出来立ての焼きレインボーフィッシュを食べる。

 相変わらず、さっぱりした中に旨みがしっかりと含まれていておいしいな。


 夢中になって食べていたら、あっという間に五匹ともなくなってしまった。

 やっぱりレインボーフィッシュはとてもおいしいな。


 満腹になったし、今日はもう帰るか。

 また気が向いたときにでも釣りをしに来よう。


 ……そういえば、上流のほうに行けば釣れる魚が変わったりするんだろうか?

 そもそもこの川自体あまり探索してないよな。

 レベルも上がったんだし、明日はこの川をいつもより上流のほうまで探索するのもいいかもしれない。

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