第22話
夕飯を終えたあたしは、すぐに自分の部屋へ戻ろうと椅子から立ち上がった。
その時、「月奈」と、陽菜ちゃんに呼ばれて立ち止まる。
「なに? 陽奈ちゃん」
「今日花火だけど、行かないの?」
そう言われて、あたしはハッと思い出した。
8月4日の土曜日。
そうだ、今日は近くの河川敷で花火大会だった。
そんなことすっかり忘れていたあたしは、おろおろと周囲を見回す。
どうしよう、行きたい。
でも、友達も誘ってないし、今年は誘われてもいない。
1人で行くのも嫌だしなぁ……。
グズグズと考えていると、陽奈ちゃんが食べ終わったお皿を片づけながら、「一緒に行ってみる?」と、誘ってくれた。
「いいの?」
「いいよ? 準備しておいで?」
陽菜ちゃん、彼氏がいるのに……。
ちょっと申し訳ない気分になりながらも、あたしは陽菜ちゃんの優しさに甘えて一緒に出かけることにした。
☆☆☆
そして、部屋に戻ったあたしは4人の妖精たちに今から花火を見に行くと伝えた。
「花火って、人間が作った火の花!?真っ先に反応したのは白堵。
お気に入りになったクッションの上から、キラキラした瞳をなげかけてくる。
「そうよ。白堵、よく知ってるわね」
「人間の会話は極力聞くようにしているからな。俺も、花火を聞いたことがある。夏にやるイ
ベントだと」
クイッとメガネを直して、菜戯が言う。
「ただのタバコのでかいバージョンだろ」
「汰緒は黙ってろ。月奈。俺たちも連れて行け」
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