2、谷川咲夜は求められる
「んー……。というかみんなヨリ君と付き合って何したいの?」
千姫の純粋な疑問。
全員がそれを口にすることはなかったが、頭に思い浮かべる。
(明智君を家に入れて兄さんと一緒に家族にしたい!)
(秀頼と喫茶店の跡を継ぎたい)
(秀頼先輩を奴隷にしたい。そして、私に依存させたい)
(秀頼さんと付き合って結婚して、新しい生活を送る!明智永遠かな?宮村秀頼かな?どっちも良き)
(わたくしが会社の跡を継ぎ、秀頼に支えられたい)
(兄さんと兄妹の壁を壊して……、無理かぁ……)
(師匠と一緒に修行して、頼れる相棒妻として置いてもらいたい)
(あ、明智なんか別にどうでも良いけど。どうしてもってんなら一緒に未来を変える相棒に任命してやるよ)
(あ、明智さんにボクの胸揉んでもらったり、強く束縛してもらいたいなぁ)
(明智君と付き合ったら、前世でやれなかったこと一緒にしまくるよね。手を繋いでロマンチックな夜景見て、ちょっと暴動が起きた時にヒーローみたいに現れて……。やりたいことが多すぎるよ!)
(秀頼様とセッ●ス!)
(秀頼君とセッ●スして、子供を最低3人作る!)
「なんかあんたらの顔見てるだけで察するわぁ……。数人から可愛くないようなギラギラした野望見えすぎない!?」
円の妹の和から、特に意地の悪そうな気配がビンビンと伝わってきま千姫であった。
星子からはたちの悪いなんかが通じてきた。
美鈴と絵美は下半身だなと大体千姫が西軍のメンバーの特徴を掴んできたのであった。
「やれやれ……。なら、あなたたちにテストをだしましょう!」
「テスト?」
「本当にヨリ君のことわかってる?ヨリ君の好みの女はどんなタイプ!?などあたしが聞いてあげるわ」
「え!?本当ですか!?」
絵美や永遠などが異様に千姫の提案にくいつく。
「ただ、テストと言いました。あたしは可愛いですが、甘くはありません!ふっふっふ」
「おい、千姫……。お前何をする気だ」
「秘密だよゆりちん」
この場で誰より怪しく笑う千姫は、ゆりかの疑問を跳ね返す。
「そして、理沙りん!」と理沙を呼ぶ。
「な、なんですか?」
「明日、タケルちゃん借りて良いですか?」
「兄さんを?別に良いですけど……」
「明日もまたみんなで集まりたいですね。誰か場所を提供してくれませんか?」
「わたくしの家なら保護者も居ないし、いつでも来客は歓迎だが……」
「ならミッキーと美鈴ちゃんの家集合!場所だけラインで送って!」
こうして千姫が色々と計画を立てる。
「あと、ヨリ君が明日学校に来たら全員会話するの厳禁です!」
「毎朝一緒に通学しているんですが……」
「じゃあ、そっけなくしてくださいっ!」
電車で同じになる絵美、理沙、円、咲夜、永遠が嫌そうな顔になるが、他女子から「そっけなく!」と念を押されて渋々頷くのであった。
──────
気絶した俺の短い日曜日を終えた。
スターチャイルドと沢村ヤマに癒してもらいながら朝に家のお隣さんである絵美と合流する。
「おはよう!絵美!」
「…………あ、おはよ」
「な、なんか機嫌悪くない?よ、よそよそしくない?」
いつもなら、「おはよっ!秀頼君!」と明るい挨拶を返してくれるのに……。
……大好きって言ったから好意的なのかと思ってたのに、かなり素っ気ない。
なんか、他人に挨拶されたみたいに……。
寂しいなぁ……。
「昨日さ、昼ぐらいに目覚めてさ!いやー、日曜日無駄にしたね」
「……おめでとう」
「おばさんに頬つねられてね、痛かったよー」
「……痛かったね」
「イングリッシュ先生のパンツって黒いと思うんだよね」
「……ブラックホールだね」
「…………な、なんか嫌われた?」
「…………全然」
会話が続かない!
何これ!?
マジでなんかした俺!?
大好きって言われて、返事しないから嫌われた!?
わっかんねぇ!
絵美の気持ちがわかんねぇ!
頼む!
咲夜!
来てくれ咲夜!
ムードメイカーなお前がいないと胃が痛い……。
「あ……。秀頼と絵美だ」
その願いが通じたのか、駅に着く途中でばったりと咲夜と出会った。
我先にと咲夜に助けを求めるように明るく声をかける。
「よぉ、おはよう咲夜!俺復活だ!」
「…………ん」
「…………」
この陰キャ娘ぇぇぇ!
ぷいと俺から目を反らし絵美の横に並ぶ。
なんで2人も会話しねぇの!?
空気が悪いよ……。
これなら1人の方がマシな空気なんだけど……。
「あ、じゃあ俺コンビニ寄るから1本遅い電車にしようかな」
「わたしもコンビニ寄る」
「ウチも」
「…………」
えぇ!?
着いて来るの!?
わっかんねぇな!
永遠ちゃん、頼むよ……。
俺のオアシス永遠ちゃんに会いたいよ!
コンビニをキャンセルすると、そのまま駅に向かう。
すると、人を見た目で判断しない永遠ちゃんの姿を見付けて挨拶をした。
「あ、おはようございます」
「あ、おはよう」
永遠ちゃんと一緒に歩いていた円も揃って素っ気ない挨拶だった。
みんなしてさぁ、会話の最初に『あ』を付けて会話するのやめろよ……。
タケルぅぅぅ!
タケルちゃぁぁぁん!
俺に1番優しい仏の生まれ変わりのタケルちゃん来てくれぇぇぇ!
と、祈っていると理沙とタケルが一緒に俺たちの前に姿を現す。
「あ、みんなおはよう」
「あ、全員揃ってる」
お前らもかよぉ!
なんでだよぉぉぉ!
「ん……」
咲夜が短く返事をする。
それだけで会話が途切れて、電車に乗り込む。
7人も揃っているのに会話がない集団……。
居心地が悪い……。
「…………」
でも、まぁ仕方ないか……。
俺が織田に落書きしたり、暴言吐いたりした面をばっちり目撃されたわけだしな……。
こいつやべぇ、気持ち悪いって思ってるよな、そりゃあ……。
もう、元の人間関係には戻れないことを悟り、気分が深く落ち込むのであった……。
ごめん、サーヤ……。
人と向き合う前に嫌われちゃったよ……。
彼女のピンクドリルを思いだしながら、心で謝りまくった……。
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