41、鈴【リサーチ】

あああああ!

タケルさん格好良い!


目の保養……。


何気なく教室にいるだけの彼に目が釘付けになってしまう。

ずっとタケルさんしか考えられない感覚。


昂る!

好きという気持ちが昂る!


好き、好き、好き、好き、好き!

美鈴に対しても変な目を向けなくて優しいタケルさんが好きぃ!


『あぁ!?またキラーマシン味方に出来なかった!ひでよりぃ、たすけてぇ……』

『いや、ただの運だろ……。俺にはどうしようもねぇ……』

『あ!?また出たキラーマシン!ちょっと、秀頼やってやって』

『は!?』


タケルさんが自分のスマホを明智君に預けている場面を目撃する。

良いなぁ、あのスマホの連絡先欲しいなぁ……。

明智君なら持ってるのかな……?


『お?キラーマシンが仲間になりたそうに見てるってよ。いいえ押して良い?』

『絶対ダメ!絶対ダメ!はい!はい!はい!』

『いいえ押せってこと?』

『いいえ!いいえ!いいえ!』

『いいえ押せってこと?』

『そうじゃねーよ!仲間にして!今すぐ俺の手持ちにロビン入れて!』

『自力で手に入れろや、な?』

『やだ!やだ!やだ!』


明智君とタケルさんがじゃれあっている。

『わーい!ロビンゲット!』と大げさにタケルさんが喜んでいる。


意味はよくわからないが、そんなタケルさんの顔を見て美鈴も嬉しくなった。


『ひでよりぃ、ありがとう。俺、お前のためならなんでもやるよ!』

『変わりに俺のデータではぐれメタルゲットしてよ』

『普通にやだ』


前にぶつかった時も感じていたけど、明智君とちょっと仲良すぎじゃない……?

恋愛感情は無さそうだけど、美鈴もタケルさんに頼られたいなぁ……。


それから美鈴のタケルさんの身辺調査が始まる。

近くに群がる女とタケルさんの距離感を把握しておく必要がありそうね。


「十文字理沙。タケルさんの妹……。顔が似てますわね」


タケルさんが女性寄りの顔なのか、妹が男性寄りの顔なのかの判断は難しいが雰囲気で兄妹とはわかるモノである。

美鈴とお姉様は結構顔の作りが似てるし、美鈴が髪を下ろせばかなりお姉様に近い顔になる。

当然ながら美鈴に広がる顔の紋章と、背が高いお姉様という図もあり、美鈴がお姉様と間違われることは一切ない。

逆も然り、お姉様が美鈴に間違われることも皆無である。



『ねぇ!見て見て兄さん!私、ジャパン都道府県の形を47全部模写できるようになったの!ほら、北海道!』

『て、天才だ!』

『これが青森県』

『プロやん……』

『ま、当然ね!』


紙に鉛筆で書いているのを見てタケルさんが驚愕している。

あれは一体なんなんだろう……?


タケルさんに驚かれて嬉しそうに満更でもないご様子。

妹さん、ブラコンだね……。

兄さん好き好きオーラが溢れている。


──十文字理沙、要注意!




『みやむらぁ、勉強教えてぇー!』

『またですか十文字さん?』

『ギフト知識のさ、ギフトの対象が取れない場合不発になるって当たってるよね?ごっちゃになっちゃう』

『ややこしいけどここは不発になります。それでね対象が取れるけど取らない場合また変わるんですよね』

『そこ!そこがよくわからなくてさ!』

『仕方ないですね。ノート出してください』


お姉様の親友、永遠が意外にもタケルさんと仲が良い。

面倒見が良い性格の永遠だとしても、距離感が近い気がする。


美鈴がお姉様や永遠みたいに頭が良くないばかりに……。

本当だったら美鈴がタケルさんの力になりたいのに……。


──宮村永遠、結構注意!




『おい、津軽!俺は絶対スタチャ派だ!』

『いいや!リーチャよ、絶対、絶対、ぜーったいリーチャの方が素敵よ!』

『ミーハーかよ』

『逆張り野郎かよ』

『なんだと!?』

『私は純粋なリーチャファンよ。円ハーレムのメンバーにしたいくらいね!』

『なるわけねーだろ!』


津軽さんがタケルさんと言い争っていた。

どちらかと言うと悪友である明智君寄りの距離感だ。

でもワンチャン大好きな気持ちの裏返しはある気がするわね。


──津軽円、結構注意!




『タッケッルッ!』

『あっ!あん、あっ。うっ……』

『男のお前が喘ぐとか気持ち悪いだけだな……』

『じゃあ俺の胸揉むの止めてもらって良いですかね!?』

『いや、タケルには陵辱される気持ちを味わってもらいたい』

『意味わから……あん、あん、あっ!?ひっ、あっ、あん!』


ヨル・ヒルがタケルさんの胸を揉んでいた。

良い声!

……じゃなくて、あの女、ボディタッチしてやがるっ!

死ね、死ね、死ね。


──ヨル・ヒル、死ね!




『佐々木、秀頼どこいるか知らない?』

『知らない』

『心当たりはないか?』

『まずは自分の足で調べたら?』

『そうだな、確かにそりゃそうだ。ありがとうな佐々木!』


興味無さそうに佐々木絵美は読書を続けている。

お互い、全く恋愛感情なんか持っていそうにない。

一安心。


──佐々木絵美、絶対大丈夫!





十文字タケルがクラスで絡む女子は5人とそこそこ多い結果となった。

美鈴の隣の男子なんか常に男同士でつるむのを考えると、タケルさんは結構モテモテな部類に入りそう。

4人が注意するべき数か……。

中々多くて辟易とする。



「よっ、深森!元気か?」

「は、はいっ!この通り、美鈴は元気です!」

「そっか。保健室にいることが多いみたいだから頑張れよ」

「はいっ!」


今朝は調子がよく、呪いも弱い日で好調!

それでいてタケルさんから心配の声を掛けてもらえて最高に良い日だ。

今日1日の体調は良い感じになりそうだなとルンルン気分だった。











「は?」


それに水を差す出来事が昼休みに起こった。

図書室で課題の調べ物を終えて、教室に戻ってくるとお姉様がタケルさんと一緒に行動していた。


『しゃーない。まぁ、もっともっと頑張ろうな美月!』

『ああ!ありがとうタケル』


タケルさんがお姉様に優しく背中を叩いている。

美鈴すらされたことがないボディタッチであった。

お姉様もそのボディタッチを受けて乙女な顔をしている。


なんで?

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?


「どうして……?どうしてお姉様がタケルさんと一緒に行動しているの……?意味わかんない……、意味わかんない……、意味わかんない……」


取らないでよ。

美鈴から何もかも取らないでよ……。


お姉様がギフトに覚醒してから、美鈴の人生は何もかも滅茶苦茶になった……。


それなのに……。


タケルさんまで取らないでよ……。


「…………許せない。許したくない……」


顔の熱さより、美鈴の嫉妬の熱さがそれを上回る。


「ふ、ふふっ……、殺してやる。殺してあげるわ、お姉様……」


大好きなお姉様。

やっぱりあなたは美鈴が殺したいです。










原作の絵美がタケルに対して嫌われない程度の絶妙な感じで罵倒を浴びせるのか考えるのが好きです。


因みにタケルは普段の秀頼からこれ以上にぞんざいな扱いをされているので、絵美に関しては全く気になってない。

嫌われているのに気付いていません。





次回、美鈴に毒を提供したのは……?

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