17、明智秀頼は忘れやすい

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学校に到着し、和と別れて2年生のメンバーでクラス表前に集まっていた。


「このクラス表をみんなで見るのがクラス替えの醍醐味だよなぁ」

「いやいや、普通そんなのねーよ」


俺の前世の時は1人でサッとクラス表見て、速攻で教室に行ったもん。

そもそもこんな小さい部活動でも始められそうな大所帯で遊ぶのなんか年を取るほど無理だったなぁ……。


冴えない野郎共3人くらいで行動していた気がする。


「でもいつも恒例になっちゃいましたね」

「毎回私は明智君とクラスになれないんですよ」

「ウチはそんな恒例知らないぞ。去年、巻き込まれただけだし」

「咲夜は小学校違うでしょ……」

「私なんかそもそも去年も参加してません!」

「…………」


どうかみんなと違うクラスになれないもんかな……?

本当はみんなと同じクラスが良いという願望はとても強い。


しかし、しかしだ!

最近、なんか妙に女子に勉強しようと誘われて『俺に気がある!?』とドキドキしてても、タケルが『俺と今から勉強する約束あるんだ!』とか乱入されるんだよな……。


勉強会自体は良いんだが、なぜか女子に誘われた時に限って俺はタケルと勉強する約束をしていたり、なぜか約束を忘れてしまっているのかが不思議でたまらない。


『そんな約束したっけ?』と伝えると、

『したよ。朝に。理沙覚えてるよな?』

『しましたよ、ジャパン史するって言ったじゃないですか。明智君、約束忘れないで』と記憶力のなさを叱られる。


絵美や、永遠ちゃんからも『約束してました』とか言われたりするので、もはや疑いようがなく、俺だけ記憶が飛んでいるのだ。


老いかなぁ……。

原作におけるセカンドもファイナルも記憶が薄くなっているので、衰えが悲しい。


前世の祖父に『物覚え悪いのやめて』と言ってしまった記憶があったので、頭を下げて謝罪したい気分だ。



どうか、新しい出会いが欲しい!

童貞を卒業できるような新しい出会いが欲しい!


彼らと遊ぶのは楽しい!

それはもう、自分の使命を忘れそうなくらいに良い環境だ。

でも、なんか怠惰なダメ人間に落ちていく感覚がある。



1度距離を置いてちょっと俺のキャラをリセットしたい。

本来の俺はもっとドライでクールでトゲトゲしているハードボイルドだったはずだ。

肩を壊されて以降、なんかふにゃふにゃになった。


来栖さんと仲が良かった剣道部女子の吉田に言われたじゃないか。

『豊臣君、めっちゃ腑抜けたじゃん。もっとギラギラしてた頃の目を忘れたの!?』と……。


確かにな。

前世の親父に小学5年生の夏休みに『リゾート地に旅行するぞ』と言われてウキウキしていたら、『無人島サバイバル生活』を10日間させられていた頃を思い出す。

石を使って魚を捌いたワイルドさが今の俺にはない。

本気でオカンと結託して親父を殺そうとしていた荒々しさを確かに失ってしまっている。

あの時は若くてバカだった。


子供の時のバカは、年を取るごとに恥ずかしいと己を隠してしまう。

ヨーグルトの蓋に付いたヨーグルトを舐めていた小学生は、中学生になるとスプーンで掬い、高校生になるとそのまま捨ててしまった。

本当は恥も外聞もなく、蓋にこびりついたヨーグルトを舐めたいと思った時は何回もある。

お母さんにやめなさいと説教をされて禁止された。

そうやって子供から大人になるのを知った。


最近の俺はまさに、蓋をそのまま捨ててヨーグルトを惜しみ、恥を隠すださい大人になってしまった……。


子供に戻る時がきたのだろうか。

それに、友情を育むよりそろそろ恋愛がしたい!


神様!神様!

どうか、新しい出会いを!

彼女欲しい!彼女欲しい!彼女欲しい!



絵美みたいな家庭的で優しくて可愛い彼女が欲しい。

理沙みたいに一歩引いて歩く真面目な彼女が欲しい。

咲夜みたいにちょっと甘えてきて、弄りがいのある彼女が欲しい。

永遠ちゃんみたいにあざとくて童貞をドキドキさせる完璧な彼女が欲しい。

円みたいになんでも相談できて、軽口を言い合える彼女が欲しい。

和みたいにMな心を満たしてくれる小悪魔的な彼女が欲しい。



そのためにも、まず身内とは違うクラスになる必要がある。

人だかりでクラス表が見えない。

知りたい。

早くあのクラス表を見たい。


そうやって本当はグイグイ押して前に進みたいのを我慢して、ちょっとずつ前に行く人の流れに従った。

子供の時みたいに人を押し付けて前に進みたい。

ついさっき子供に戻るとかなんか言っていたが、自己中を晒す子供には結局なれなかった……。




色々と考えていると、クラス表の先頭グループから3人の見慣れた男子生徒を見掛ける。


「おっ!おっはー、明智」

「おはよう山本」


山本や西山らの男子3人たちであった。


「俺たち4人みんな同じクラスだぜ!」

「またよろしくな明智」

「僕たち次の2年間も同じクラスですねぇ」


いつかに恋バナをした仲の連中である。


「俺たちのクラスだけど……」

「おっと、山本!ネタバレ禁止だ。俺はクラス表を見るワクワク感を大事にしたい」

「確かに気持ちはわかるぜ明智」

「ただ、西山。同じクラスでまた楽しめそうだな」

「では、また教室で会いましょうねぇ」

「じゃーなー」


廊下の奥へ消えていく山本ら3人であった。


「クソッ、既に秀頼のクラスが山本らで3枠埋まってしまった……」

「ウチは!?ウチは!?ウチのクラスに秀頼はいるのか!?」

「そろそろ私も同じクラスになっても良いと思うの」


山本らが消え去り、俺と同じクラスを目指すために激しく燃えるメンバーたち。

果たして、結果はどうなる。


















「そんなぁー!?また!?全然明智君と同じクラスにならないじゃん!」

「理沙と同じクラスになりやすいわね」

「酷い、こんなの……」


理沙と円と永遠ちゃんが違うクラスになった。



「あっ、ありました!明智秀頼の同じクラスに佐々木絵美あります!」

「ウチもあった!」

「よし!義務教育ずっと同じクラスだな秀頼」

「…………」


絵美、咲夜、タケルが俺と同じクラスが確定した。

既に、今年も彼女が出来ない予感をひしひしと感じるのであった……。










因みにこのクラスわけの結果は、鳥籠の少女編で一部明かされていました。

・咲夜は、秀頼と絵美と同じ

・永遠は、タケルとは中学1年時のみ同じ

一応反映されてます。



明智秀頼の前世について

豊臣光秀の父は探検家で世界をグルグルまわっていました。

行動力があってカリスマ性が高くて、頭がおかしい遺伝は父です。


豊臣一家は父親からよく、旅行と称して危険なところへ連れて行かれました。


危険に巻き込まれる度、母親と息子は復讐してやろうと殺害計画を企てるのがお約束でした。

頭が良くて優しくて、狂っているのは母の遺伝です。



光秀は毎年旅行についていきましたが小学校の6年間の内3回くらい死にかけてぐれてしまい、旅行には行かなくなり、その変わり隠れオタクになりました。

第5章 鳥籠の少女

第73部分 29、宮村永遠の慟哭

※3回くらい死にかけた真相がこれ


それから肩を壊されてしまい、隠れオタクをしていたのがオープンオタクに変わりました。


小学生の頃は今よりもかなり尖った性格であり、

中学生以降は好青年になり、

肩を壊された時に、同時にまともな人格も壊され今みたいにぶっ飛んだキャラになりました。

また、最初の頃は仲も良く自分より実力はなくても先輩として慕っていた剣道部の部長に裏切られて肩を壊されて以降、人と深く干渉するのに苦手意識が出てしまい心を鈍感にして生きる逃げ癖がついてしまいました。

基本的に秀頼はヒロインの好意を無自覚に見て見ぬ振りをしてしまっています。

来栖さんならその鈍感さを溶かす可能性がありました。

しかし、残念ながら来栖さんが鈍感さを溶かす前に光秀君はこの世を去ってしまいました。

秀頼君は物語の中で、登場人物から一歩退いた距離感を保っています。

自分が秀頼であろうが光秀であろうが『自分なんか誰にも好かれない』と思い込んでいる(部長に肩を壊される際、人格否定もされていたのが原因)。

しかもクズゲスでヘイトを稼ぐ『明智秀頼』に転生したのが、拗らせに拍車を掛けてます。

『十文字タケル』に転生したらここまで酷くはなかったでしょう。


部長とは直前まで仲が良かった人であったことがより拗れた原因になっています。

そんな失意のどん底の中、彼は来栖さんに好意を寄せていました。

しかし彼の『想い』は全く報われることなく事故で亡くなりました。


肩が壊されていなければ今より10倍はお節介なので正体を明かさない円にもガンガン干渉してますし(既に来栖さんとわかっていたはず)、咲夜のコミュ障を直すように積極的に動きますし、理沙のギフトをタケルか理沙本人から聞き出すくらいは余裕でしてます。

ヒロインの好意にもある程度察することができていたはずです(本来の鋭さを発揮すれば理沙以外は気付けます)。

来栖さんと面談できれば、彼の鈍感さも一皮剥けられるでしょう。

そのキーキャラクターになり得るは当然あの人です。

とにかく全ての元凶が部長です。

作者がクズゲスで1番嫌いなキャラです。

いつか何かしら部長に対するトラウマも解消させる予定です。

ヒロインだけでなく、秀頼の成長物語でもあるのでじっくりと前世の来栖さんと部長に対する清算はしていく予定です。

言ってしまえば、これが明智秀頼の『悲しみの連鎖を断ち切る』べきバックボーンです。

これがいわゆる秀頼にとっての鳥籠です。


ファーストシーズンでは秀頼の過去にもガンガン触れていきます。

実は来栖さんに対する豊臣君の『想い』は描写しましたが、豊臣君から見た来栖さんの『想い』はほとんど触れていないのでそこについても今後、出し惜しみなしで書いていきます。

秀頼の鈍感さにイライラするかもしれませんが、近い内に解消します。

ちょうど現在、津軽円に焦点を当てた話を執筆しています。

1日2ページ更新を続けて9月か10月くらいには公開予定です。




前世では、野郎共をまとめあげる者として男子の支持率は異常に高かった (山本君グループみたいな男子が周りにたくさんいた)。


一応異性にもモテてはいましたが、来栖さん含めて奥手で変な人ばかりに好意を持たれるという、現在と対して変わらない恋愛事情を抱えていました。


来栖さん目線だと普通の好印象な青年の光秀ですが、中身はほとんど秀頼と変わりません。


来栖さんの親友の吉田さんは、彼氏持ちだったので光秀に対して片思いはしていません。

客観的な意見を来栖さんにアドバイスしていましたが、残念ながら来栖さんは『恋は盲目』状態でした……。



長文になり申し訳ありません。

感情移入しまくると、本当に文章が止まらなくなります……。

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