第64話

☆☆☆


ソファで横になってウトウトしているといつの間にか朝日が差し込んでいた。



狩の時間の終わりを告げるアナウンスで目を覚まし、上半身を起こした。



久しぶりにこんなにゆっくり眠った気がする。



重たくて疲れが蓄積していた頭が、幾分かクリアになっていた。



「聡介、起きて」



テーブルを挟んで向かい側のソファで眠っている聡介に声をかける。



聡介は軽く身じろぎをして目を覚ました。



「5日目の朝だよ」



伝えると聡介は「そっか」と小さく呟いて上半身を起こして。



そしてそっと立ち上がる。



立ち上がる行為と歩く行為は随分と楽にこなせるようになっていた。



軽くなら走っても大丈夫そうだ。



「このまま7日目までいけるよ。絶対に大丈夫」



「あぁ。そうだな」



今はそう信じるしかない。



それからあたしたちは屋上へ向かった。



あれから花子からの連絡は来ていない。



屋上の重たいドアを押し開けると、テントが倒されているのが目に入った。



準備しておいた武器もどこかへ持っていかれているし、食べ物もない。



昨日の夜先生たちは好き勝手荒らしてくれたみたいだ。



あたしは重たいため息を吐き出してそれを見つめた。



屋上にいるという選択肢を見つけたときは本当に嬉しかったのに、ほんのひとときの安らぎもあたしたちには与えられない。



花子の姿を探してみたけれど、屋上には見当たらなかった。



だけどこれだけ荒らされているのだ。



先生たちに見つかっていたらただじゃ済まされないだろう。



「食べ物どうする?」



聡介の質問にあたしは左右に首を降った。



食欲はなくなっていた。



それに、今はそんなこと考える余裕もない。



「わかった。俺飲み物だけでも取ってくるからここにいてくれ」



聡介はそういい残すと1人で校舎へと戻っていったのだった。

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