外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!
第524話「まあ、自分に置き換えたら……という事なんですけど」
第524話「まあ、自分に置き換えたら……という事なんですけど」
ゴーレムの
リオネルが語った決意。
これまで、リオネルは『いち冒険者』として、自分の能力を存分に活かし、
いくつもの町や村の復興の手伝いをして来た。
自分の能力は、難儀している人々の役に立つと実感し、
それが使命なのだと確信した。
……その使命を今後も、続けると決意を述べたのである。
真剣な表情であったリオネルだが、ここで一転、柔らかく微笑む。
「まあ、人助け、仕事だけではなく、遊びも趣味も、自分が好きな事をいろいろやるつもりですがね。但し、世界を征服しようとかは全く思いません」
「ふ~む、リオネル君、……やはり、君の事は分からぬなあ……」
ゴーレム……イェレミアスからは、困惑の波動が伝わって来た。
相変わらず、リオネルの真意、人となりをはかりかねているらしい。
ここでリオネルが問う。
「あのお、ちょっち考えましたけど……俺も実は同じなのですが」
「俺も? 実は同じ?」
「はい、イェレミアスさんの事が分からないのは、俺も全く同じです」
「むう……私の事が分からないだと? ボトヴィッドからは聞かなかったのか?」
「ええ、確かにイェレミアスさんの事は、ボトヴィッドさんからお聞きしましたが、ざっくりとレベルです……根掘り葉掘り聞いてはいません。なので、逆に俺が気になった事をお聞きしても構いませんか?」
「う、うむ……構わんぞ」
「はい、ではズバリお聞きします。アートス君やこのゴーレム達の製作、運用、転移装置の活用などから分かりますが、イェレミアスさんは底知れない知識を持つ相当高位の魔法使いだと推測します。で、あれば何故、その凄い力を地上で活かさず、このフォルミーカ迷宮へ引きこもって、ひっそりと暮らしているのでしょう?」
「な、何ぃ!? 私がこのフォルミーカ迷宮へ引きこもって、ひっそりと暮らしているだと?」
「はい、これ、何故世界を征服しないのかという、俺への質問とほぼ同じですね? まあ、理由は何となく分かりますが」
「な!? リオネル君に理由が……分かるだとぉ!?」
「はい、まあ、しょせんは俺の想像、推測なんですがね」
「ふううむうう……私がこのフォルミーカ迷宮でひっそり暮らす理由か。……構わん、リオネル君。君の推測を語ってみたまえ」
「はい! 答えはシンプルですよ。……面白いから……ですよね?」
「はあ!!?? 面白いから……だとぉぉ!!??」
絶句するイェレミアスに対し、
「はい!」
と、リオネルは再び、元気よく返事をしていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「面白い!!?? とは、どういう事かね!!」
「当然、このフォルミーカ迷宮が、ですよ」
「むうう……」
「はい、フォルミーカ迷宮が最高に面白いからですよ」
「フォルミーカ迷宮が最高に面白い……か。申し訳ないが、もう少し補足説明をしてくれるかね?」
「はい、このフォルミーカ迷宮を探索した俺の推測ですが……この迷宮は元々あった自然の大洞窟を改修、強化した古代都市だと考えています」
「………………………………」
リオネルの『推測』に対し、沈黙は肯定の証とばかりに、イェレミアスは無言で応えた。
構わず、リオネルは更に言葉を続ける。
「フォルミーカ迷宮において、地下120階層の石造りの迷宮までは敵の侵入を防ぐ要塞フロア、121階層から149階層までが食料確保の為の生産フロア、そして150階層以降は、この古代都市を制御、運営する管理エリアという構造でしょう」
「………………………………」
「これでもかと、無限に湧き出る魔物ども、……まあ、これは他の迷宮も同じですが、魔法で造られたらしい、太陽光が射し、雨も降る地上のような自然環境、ストーンサークルの転移装置、地上では絶対に見られず、再現も不可能な技術があちこちで見受けられます」
「………………………………」
「未知ともいえるこれらの技術を、イェレミアスさんが全て把握し、お使いになっているのか、俺には分かりません」
「………………………………」
「御存じであれば、制御し、使いこなす事が、もし御存じでなければ、ひたすら研究し、学び、習得する事が、どちらにしても楽しくてたまらない。……これって、魔法使いの
「………………………………」
「……という事で、地上へ戻るより、このフォルミーカ迷宮で暮らす方が、断然面白いという事ではないでしょうか?」
「………………………………」
「他にも理由はあるかもしれませんが……大本、根っこの部分はそうだと思います。まあ、自分に置き換えたら……という事なんですけど」
話し終えたリオネルは、ゴーレムに対し、
「……どうでしょうか?」
と、問いかけたのである。
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