第425話「これでオーガどもも、俺には無力!」

オーガキング以下、50体のオーガか!

相手にとって不足はない。


「ふう」と息を吐き、体内魔力を上げ、

リオネルは、通路の奥から現れるであろう敵に備えた。


既に作戦は立ててある。


リオネルは、オーガの最上位種オーガキングとは初めて戦う。


しかし選択したのは、先ほどノーマルタイプのオーガと戦った際の戦法とほぼ同じだ。


まずは遠距離攻撃を試し、接近戦は本来の、

「一撃離脱」【ヒットアンドアウェイ】に徹する。


リオネルは、『フリーズハイ』『威圧』『大地の束縛』を使い、

敵を行動不能にしてから、風の攻撃魔法『風弾』を撃つ。


先ほど同様、リオネルの攻撃魔法は、行動不能になったオーガをあっさりと倒した。


続いて、地……岩、水、火の『弾』を普通に撃って行く。


リオネルの各属性魔法魔法を受け、オーガどもは呆気ないくらいにあっさりと、

次々にたおれて行く。


どれくらいの魔力量で攻撃魔法を撃てば良いのか。


先ほどの戦いで、魔力も膂力もオーガへの『力加減』は分かっている。

上位種は、その数割増しの計算だ。


この経験則は、以降の未知なる敵との戦いにおける目安にもなると、

リオネルは実感していた。


これまた先ほど同様、直線、正面だけでなく、

放った魔法の軌道を自在に変えて、横からの攻撃も加える。

直角に近い変化も試してみる。


命中率は、狙った相手に対し、90%上といったところ。


何度も放ったので、先ほどよりも命中精度が増したようだ。

もう少し訓練すれば、100%に限りなく近くなるだろう。


オーガどもは、いきなり軌道を変えた攻撃魔法に大いに驚き、混乱。

右往左往するしかない。


よし!

『ムービング攻撃魔法』とでも名付けるか!


威力の調整もばっちり。

相手の様子を見て『貫通撃』を加えたり、加えなかったりもした。


全てが上手く行ったのを充分に確かめてから、リオネルは接近戦に。


まずは剣技。

オーガに絶対捕まらないよう注意しながら、剣を振るい、シールドバッシュも合わせて戦う。


納剣し、次は格闘技オンリー。

破邪聖煌拳はじゃせいこうけんを駆使。

パンチを繰り出し、蹴りを入れ……

まさに蝶のように舞い、蜂のように刺した。


シールドバッシュ、投げ技も駆使しして戦う。


敢えて避けずに、オーガのふるう拳も盾で受ける。


結構な衝撃があり、ミスリル製の盾が少しへこんだが、どうという事はない。


そんなこんなで、ノーマルタイプのオーガ、上位種の殆どを倒し……

残りはたった1体、オーガキングのみとなった。


ぐおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!


たったひとりの少年により、配下を全て倒され……

憤怒の表情で咆哮するオーガキング。

巨大な腕をぶんぶんと振り回す。


しかし、リオネルは臆さず迷宮の床を蹴り、猛ダッシュ!


ふたつ名の弾丸のように神速で接近!


どっごおわっっっっっ!!!!!!!!!!


オーガキングの懐へ潜り込み、どてっぱらへ、

肘が見えなくなるくらい、強烈なパンチを打ち込み、

たったの一撃で絶命させていたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふう~」


オーガキング以下、オーガの群れを全滅させたリオネル。


チャララララ、パッパー!!!


リオネルの心の中で、あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、

内なる声が淡々と告げて来る。


リオネル・ロートレックは、レベル26に到達しました。


チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、


身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。


体内魔力が大幅に増量しました。


魔力回復力が大幅にアップしました。


魔法攻撃力が大幅にアップしました。

『ムービング攻撃魔法』を習得しました。


魔法防御力が大幅にアップしました。


オーガ最上位種、オーガキングを倒しました。


チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、

ギフトスキル『オーガハンター』の称号を得ました。


オーガへの物理及び魔法の攻撃力が50%アップします。

オーガからの物理攻撃が無効化します。


「よし! やったぞ! レベルが上がり、ギフトスキルを習得した!」


リオネルは、思わず肉声で叫んだ。


ギフトスキルのハンターシリーズは、

スライム、ゴブリン、オークと来て、今度はオーガ。


これでオーガどもも、俺には無力!


という事は、地下60階層までは一方的な『狩場』って事か。


思う存分、暴れて、経験値と熟練度を増してやろう。


この際だから、まだ未出動の奴らも、『調整』してやるか!


但し、浮かれすぎて、とんでもない無茶は禁止な!


己を戒めたリオネルは、探索を再開。


何回か、オーガとの戦闘を繰り返した後……


ケルベロス、オルトロスを帰還させ、ミニマム化したファイアドレイク、フロストドレイク、アスプ6体を出動させ、実戦を兼ねたコンビネーションチェックを行った。


最後には、ゴーレム軍団も出動させ、

存分にバトルシミュレーションを行ったのである。

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