第249話「リオネルは、また大きな成果を得た」

「思い立ったら吉日」「好機逸すべからず」

「善は急げ」「幸先が良い」等々、

思い立った日がベストタイミングと考え、すぐに実行せよということわざは多い。


「何かをする決意をしたら、その日のうちに取りかかるのがベストだと思います」


今日から3日間は、休日と決めていたのだが、

リオネルの言葉で、4人は朝食後、早速冒険者ギルド総本部へ赴いた。


業務カウンターに、別件でエステルがしばし不在だと聞いたので……


エステルと会う『明日以降のアポイント』を受付けに申し入れた。


対して、受付けの職員は、


「リオネル様、申し訳ございませんが、本日の午後3時以降で、再訪してくださいますか。それでお時間が、はっきりするでしょう」


と答えてくれた。


「ありがとうございます! 了解しました!」


リオネルは元気良く返事を戻し、4人はせっかくの休日を楽しむ為、

ワレバットの街中へ……


いろいろな店で存分に買い物をし、

モーリスのたっての希望で書店をめぐり、魔導書を始め、様々な本を購入。

ミリアンが大喜びした、おしゃれなレストランで食事を楽しみ……

午後4時過ぎに、冒険者ギルド総本部を再訪。


エステルと『明日10時』のアポイントが取れたので帰宅。


全員で料理をし、夕食後……

各自の受講希望講座を聞いた上で、

リオネルがエステルとの打ち合わせ資料をとりまとめた。


そして全員が、早めに就寝。

ぐっすりと眠ったのである。


……という事で、翌日午前10時。

リオネル達は休日返上。


冒険者ギルド総本部の応接室において、

時間を取ってくれたエステルと打ち合わせをしていた。


まずは、以前請け負った、ワレバットの街周辺の『町村支援施策』を、

「再び行いたい」という旨を伝えた。


対してエステルは、


「冒険者ギルド総本部としては大歓迎です」


と笑顔で答え、


「皆様がこれまでに施策を実施した町村において、全てが、とんでもなく大好評でして、その後も引き合いが絶えません。ぜひ皆様に、という指名が遠方の町村からも、ひっきりなしに来ていますよぉ」


と、嬉しい話をしてくれた。


「では、またぜひ、エステルさんにマネジメントして頂ければ」


とリオネルが依頼し、


「ええ、ぜひぜひ! 喜んで! 私で宜しければ!」


と、エステルがオファーの調整と仲介をしてくれる事となった。


更にリオネルは将来を見据え、

各自が冒険者ギルド総本部の各種講座を受講したいと申し入れた。


リオネルは、フォルミーカ迷宮へ行く事を前提に、

風の上級魔法、召喚術、付呪術の魔法を、


そしてモーリス、ミリアン、カミーユは、

『商人講座』をメインに受講したいと申し入れをした。

更にモーリスは、キャナール村移住を前提にとも言い、

「ワレバットの街を往復して商売を行いたい」と付帯説明もした。


エステルは全員の希望を聞いてOKし、


「了解しましたあ!」


と元気に快諾した。


しかし、少し寂しそうに微笑み……


「リオネル様は、隣国アクィラ王国の迷宮都市フォルミーカへ、モーリス様達は、

キャナール村へ……人生は出会いと別れだと言いますが、皆さんも、もう少しでお別れなんですねえ……」


と、感慨深いという趣きで、しみじみ言ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


打合せの翌日、早速エステルからオファーがあり、即座に受諾。


3日の休暇を終え……

買い物、訓練等々、オファー受諾後、

1週間の間にもろもろ準備を整えたリオネル達は、

ワレバットの街から少し離れた、とある村へ赴いた。


発注元は、ローランドの知人である某貴族領主。


オファーの内容は、

村の近くにオークの群れが出て、村民を襲うので本拠地を探し当て、討伐して欲しいというもの。

更に、ワレバットの街からの救援資材の輸送と搬入、

そして農地を外敵から防ぐ防護用の岩壁の建設と整備、であった。


リオネル達は、村へ到着すると、早速仕事を開始。

運んで来た物資を納品。

村長から詳しい事情を聞くと、出撃。


リオネルは、ケルベロスとアスプを放ち、付近を徹底的に探索。

すぐにオーク数体を捕捉。

戦闘の後、すぐに巣穴の洞窟……

本拠地を探し当て、魔獣ケルベロスとアスプを先頭にして全員で突入。


圧倒的な強さで、オークどもを討伐した。


ここでリオネルは、また大きな成果を得た。


ケルベロス、アスプとともに、鋼鉄製のゴーレムを出撃させたのである。

冒険者ギルド総本部で受講した召喚術の実践をオークども相手に行ったのだ。


……英雄の迷宮において、リオネルは『真理の魔法文字』だけを削って、

ゴーレムを無力化し、ほぼ無傷で倒した。


その際、術の切れたゴーレムの筐体を収納の腕輪へ、

最初に倒した鋼鉄製2体を含め、鋼鉄製、岩石ともに、

リオネルはそれぞれ都合10体ずつキープして、修復、強化をし、

自分が使えるよう調整しておいたのだ。


先日リオネルは、ギルドの召喚術講座における訓練において、

『真理』の魔法文字を刻む事を成し遂げ、ゴーレムの可動に成功していた。


『盾役』とした、鋼鉄製のゴーレムは、本拠地たる巣穴の洞窟に突入。

ケルベロス、アスプに負けじと大活躍した。

実戦で、数多のオークどもを倒したのである。

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