「こしゅう」と「こしつ」

「固執」


 こんな漢字がありますよね。これ、どっちで読んでいますか? 「こしゅう」か「こしつ」か。


 私は長年「こしゅう」と読んできたんですが、最近「こしつでしょ」と言われることが増えました。


「私が覚え間違えてたのかなあ」

 

 そう思ってたんですが、どっちか混乱してくるんですよね、どっちも見たり聞いたりするもので。


 それでやっと調べました。気になったらその時調べればいいものを、あまりに「こしつだよ」と言われることが多く、私自身も自分がどっちを使ってたか分からなくて、なんとなく放置していました。


 やっぱり気になると思って調べたら、どうやらこういうことらしいです。


「固執は元々は『こしゅう』だったが近年の口語体で『こしつ』と読むことが増えてきた」


 なるほど、書き文字としては元々「こしゅう」だったのが、口で話す言葉では「こしつ」が増えてきて、アナウンサー辞典などでも「こしつ」が増えてきているということみたいです。


 意味としては、


「あくまでも自分の意見を主張して譲らないこと」


 です。


 私はおそらく「書き文字」として本や新聞などでこの言葉を覚えたんでしょう。もしかしたら国語の授業の可能性もありますが、気がついたら「こしゅう」と思って、覚えた時のことは記憶にないのでよく分かりません。


 ですが、気になるのは「アナウンサー辞典にある」というところです。これやられると、これまで使ってなかった方が一般的になるんですよね。

 以前どこかで書いたんですが、最近は「4分」を「よんふん」と読んでいることが多くて、私はちょっと落ち着きません。元々は「よんぷん」ですよね、これ。それがテレビのニュースなんかでも、件の辞典にあるらしく「よんふん」と読むんですよ。もう気持ち悪くてしょうがない。


 元々「音便」というものがあって、言葉というのは多分話しやすいように変化してきています。なので平安時代はこんな発音だったんじゃないかって、想像しながら当時のように古典を読もうという試みもあったりします。

 これは中学3年の時の授業で習ったことなので、浅くしか知りませんが、よっぽどのことはなかったと仮定して、その変化をグラフのようにして考えるとか聞いたように思います。

 

 ですから「四と分」で言いやすいように「よんぷん」となってるんです。それをなんでか近年「よんふん」と読む。不自然だと思います。話しているうちに自然に変わっていくのなら分かりますが、テレビやラジオで「こっちが正しい」と「よんふん」と読んでそっちに流れを変えていくことは。


 少し話がそれましたが、なのでどっちでもいいのなら私は書く時には「こしゅう」と思いながら書いていきましょうか。古い考えに「固執してるよ」と言われても、文字で覚えてそうなってるし、間違えてないのなら、それでいいですよね。


 今までするっと流してたことが、書いていると「これどっちだった?」とこうして引っかかることも出てきます。書くってやっぱり面白いです。


 

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