19話 二つの手紙

優一が目を覚まし数日が立った。

三人は落ち着きを取り戻し、これからについて話し合いをしていた。

テーブルを囲い優一は屋敷の中から見つけた二つの手紙を懐から出し机に置いた。

一つはティファリアへと書かれており、もう一つは転移者様へと書かれていた。

「これお母さんの字です」

ティファリアは封筒を開けてみると、中には写真と手紙が入っていた。

写真にはミティシアと赤ん坊を抱えたミティシアに似た女性が写っていた。


ティファリアへ

この手紙を読んでいると言う事は、貴方は十六歳になったのね。

随分大きくなったね。貴方が大きくなる所を間近で見れないのは残念ですけど。

これから貴方には辛い事が幾つも待ち受けているかもしれません。

ですが忘れないでください。お母さんはいつも貴方の見方です。

そう言えば十六歳になったのだから貴方も好きな人が出来たかな?

お母さんも会ってみたいです。

でも、お母さんみたいに変な人を好きになってはいけませんよ。

私はそこが少し心配です。私利私欲を優先する人では無くてあなたの事を一番に大事にしてくれる人を見つけるのよ。

それと、ミティシア姉様の言う事はちゃんときくこと。

まだまだ書きたい事は山ほどあるけどこのくらいにしときますね。

お母さん弱虫だから書いていると悲しくなってきますので。

お誕生日おめでとう。愛しのティファリア。

                            (母)レティアより

ティファリアは手紙を読んで涙を流す。

「ごめんなさいお母さん。私まだ十二歳なのに読んでしまいました・・・」

ティファリアは涙を拭う。

「優にぃ、琴ねぇ、もう一つの手紙を見ましょう」


転移者様へ


まず先に謝らせてください。

申し訳ございません。

この手紙を読んでいると言う事は私に何かあったと言う事ですね。

こういうのは苦手なので単刀直入に書かせていただきます。

二つの世界が繋がった原因を私と妹(レティア)で旅をして調べて分かったことがあります。

一つ目は、オールワールドとエアストヴェルトは元々一つの世界だったのです。

古代の神が邪神を封印した際に元々一つだった世界を二つに切り分けたようです。

気を使う人種と魔力を使う人種を分けて、それで誕生したのがオールワールドだったのです。

二つ目は、一度分けられた世界が再び繋がった原因は神々の力が弱まり何か得体の知れない力が作用して繋がった事が分かりました。そして手掛かりはオールワールドにある四柱の世界樹にあると。世界樹の涙をエアストヴェルトの神殿の盃に注げと。


転移者様どうか乱戦を鎮めて世界を救ってください。

                           ミティシアより

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