終わり

「やった……!やったよ……!」

 蓮が喜びを顕にする。

 不老不死、オカルト部にとってこれ以上ないオカルトであり、蓮本人の言葉もあり、オカルト部全員で蓮が不老不死になった理由。それを探していたのだ。

 そしてついに、蓮が不老不死になった原因を突き止め、蓮の不老不死をなくすことに成功したのだ。

「良かったわね……」

 オカルト部の面々は涙すら流して喜ぶ蓮に涙ぐみながら祝福の言葉を送る。

 ……私を除いて。

「玲香!来て!」

「ちょっと!」

 蓮が私の腕を掴み、走り出す。

「よいしょ」

 蓮は鍵がかかった屋上の扉を蹴破り、屋上に出る。

「ちょ、大丈夫なの!?扉蹴破ったりして……!」

「あはは。大丈夫じゃない?どうせ屋上に来る人なんていないし、屋上を確認する先生もいないよ」

「そう、かしら」

「うん!」

 蓮は私が見たことないほどの満面の笑みを浮かべる。

「あはは!」

 そして突然蓮が走り出す。

「ちょ!」

 そのまま屋上のフェンスを飛び越え、体を傾けたことで私は慌てる。

「怖ーい」

 落ちる直前で蓮はフェンスを掴み、止まる。

「ねぇねぇ、僕。恐怖を感じたよ!一体いつぶりだろうね!あはは!」

 蓮は心底楽しそうに笑う。

「そう。良かったわね」

 空は雲ひとつなく月が淡く光っていた。

 月光が蓮の笑顔を美しくに彩る。

「ねぇ、月が綺麗だね?」

「えぇ、そうね」

 私は空に浮かぶ月より月に照らされり蓮の笑顔に心を奪われる。

 でも、でも、でも、

 これで終わりなのだ。これが最後なのだ。

 なぜなら、蓮はもう二度と蘇らないのだから。

 蓮は、普通の人になったのだ。

 私を一人残して。

 

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