第46話 ランクアップ
冒険者ギルドでゴブリンの討伐を報告しているところだ。
依頼では3匹の討伐だったところ、上乗せして多めに狩っておいた。
受付嬢の計数によれば、全部で38匹のゴブリンを討伐していたようだ。
「それで、ランクは上がるのか?」
「はい。現在、EランクであるリキヤさんのランクをDランクへと昇格させます。おめでとうございます!」
受付嬢が笑顔で言う。
「ほう、本当に上がるのだな」
EからDへか。
どうやら、思った以上に簡単に上がるようだ。
「はい! Dランクでも、リキヤさんの実力からすれば物足りないかもしれませんが……。当ギルドとしましても、前例や慣習がありますので……」
受付嬢が歯切れ悪くそう言う。
どの世界でも、しがらみはあるものなんだな。
「それは仕方ないな。しばらくはDランクで様子を見よう」
「申し訳ありませんが、それでよろしくお願いします。Dランクでも、大人1~2人が食べていくだけの稼ぎは得ることができますので」
冒険者という制度において、Dランクは中堅下位ぐらいだと聞いている。
日本で言えば……年収200~300万ぐらいのイメージになるだろうか。
ぜいたくをせず、かつ持病や借金などもなければ、大人1~2人が慎ましく生活できるぐらいの稼ぎとなる。
「ふむ。当面の稼ぎとしてはそれでも十分だが。俺には、愛する女や鍛えたい弟子がいる。できればもう少し稼ぎたいのだが」
村に残してきたフィーナ。
この街で生活を始めたばかりのエミリー。
孤児の少女レオナ。
それぞれ、俺が面倒を見てあげたい者たちだ。
まだ他にもいる。
フィーナの両親や村人たち。
エミリーの両親。
レオナ以外の孤児たち。
余裕があれば彼らへの援助もしてあげたいところだ。
「でしたら、さらに功績を積んでCランクを目指されるのがよろしいでしょう。DランクからCランクへの昇格は、普通は数年以上かかりますが……。リキヤさんなら、短期間でのランクアップも可能かもしれません」
「わかった。今後もゴブリンどもを討伐していけばいいのか?」
「当面はそれでよろしいかと。ゴブリンキングやビッグボアというような上位の魔物を討伐できれば、より近道になりますが……。さすがのリキヤさんでも、そのあたりの魔物への挑戦は早いかもしれませんし……」
受付嬢が心配するような表情でそう言う。
「ビッグボアなら討伐したことがある。肉は食ってしまったので、残っていないがな」
「え、えええっ!? い、いえ。リキヤさんなら、他の冒険者と協力すれば何とか倒せますか……」
「ん? ビッグボアは俺が1人で倒したぞ。力と勢いはあるが、しょせんは獣。俺の敵ではなかったな」
俺は力が自慢だが、技巧も鍛えている。
正面からの力押しだけでは、俺に勝つことはできない。
「そ、そうですか。それなら、上位の魔物を討伐していただければ、Cランクへの昇格も近いかと思います」
上位の魔物か。
ビッグボアがこの近郊に出現してくれれば話が早い。
もちろん、それ以外の上位の魔物でも問題ない。
都合よく出てきてくれないだろうか。
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