第19話 フィーナからのアプローチ

 ブラック盗賊団の討伐作戦は無事に終了した。

 まあ、作戦とは言っても俺が突撃して1人で撃破していっただけだが。


 村に凱旋し、捕縛した盗賊たちは村長たちに引き渡した。

 近いうちに街まで連れていって、奴隷として売却する予定だそうだ。

 俺も街には興味があるし、ついでに同行しようかな。


 そんなことを考えつつ、フィーナとともに彼女の家に戻る。


「リキヤさん。本当にありがとうございました」

「いや、お安い御用さ。大した手間でもない」


 お礼を言うフィーナに対して、俺はそう返す。


「あの盗賊たちには、何度も村の者が襲われていたのです。私自身も襲われかけましたし……」


 俺と彼女が最初に出会ったとき、盗賊たちによって彼女は犯されかけていた。

 そこを、俺が助けたわけだ。


「あれは危なかったな。女を襲うやつらは、俺は気に入らない。ボコボコにして当然だ。それに、俺自身の鍛錬にもなるしな」


 弱い者をいたぶる盗賊たちは気に入らない。

 男なら、自分よりも強い者に挑むべきだ。

 俺はそうやって強くなってきた。

 まあ、最近は俺よりも強いやつがいなくなってしまったわけだが。


「リキヤさん……。1つ、お伝えしたいことがあります」


 フィーナが改まった顔をしてそう言う。

 顔が赤くなっている。


「なんだ?」

「私は、リキヤさんをお慕いしています。どうか、私を女にしていただけませんか?」


 フィーナがそう言って、顔を近づけてくる。


「ああ。喜んでそうさせてもらおう」


 俺はフィーナをそっと抱きしめ、口づけをする。

 フィーナは美人だ。

 こんないい女に気に入られて、据え膳を食わぬわけがない。


 俺は最強を目指しているが、別にそれ以外に興味がないわけではない。

 いい女がいれば抱くし、うまいものがあれば食うし、いい酒があれば飲む。

 それに、いい音楽を聞いたり、各地を旅して巡ったりするのも嫌いではない。


 フィーナの口唇の感触を堪能する。

 そして、俺が彼女の下半身へと手を這わせようとしたとき……。


「うぉっほん!」


 咳払いが聞こえた。

 フィーナの父ダインだ。

 気配に気づかなかった。

 フィーナの魅力に惑わされて、周囲への警戒を怠ってしまっていたようだ。

 俺もまだまだだな。


「お、お父さん!?」


 フィーナが慌てて俺から離れる。

 ここはフィーナの自宅。

 もちろん、彼女の両親もここに住んでいる。

 はち合わせるのも当然あり得るだろう。


「リキヤ殿。俺は君に感謝している。それに、フィーナももう大人だ。別にそういった行為自体にとやかく言うつもりはない。ただ……」


 ダインが渋い顔でそう言う。


「ただ?」

「時と場合は選んでもらおうか。まだ夕方になったばかりだし、ここは我が家のリビングだ」


 ダインがそう言う。

 そりゃそうだ。

 日が沈まないうちから、リビングで娘と男がおっ始めようとしていたら咳払いの1つもしたくなる。

 殴り飛ばされなかっただけマシというところだ。


 フィーナの年齢は10代後半ぐらいだ。

 日本の感覚では、大人か子どもか微妙な年頃である。

 しかしこの世界では、もう立派な大人として扱われるようだ。


「わかった。気を付けよう」


 俺は素直にそう言う。

 まさか父親が見ている前でおっ始めるわけにはいかない。


 ダインは俺の言葉を聞いて安心したのか、去って行った。

 俺はフィーナの耳元に顔を近づけてささやく。


「(フィーナ。今夜お前の部屋に行くからな。準備して待ってろ)」

「はうっ!」


 フィーナの顔が真っ赤になってしまった。

 目がとろんとしている。

 あまりこういう経験がないのか?


 夜に部屋の中でであれば、ダインからの文句もないだろう。

 あまり激しくしてしまうと、それはそれで苦情が来るかもしれないが。


 俺は最強を目指すことを第一優先としてきた。

 第二に好きなのが女である。

 こういう経験は豊富だ。

 ここは、優しくリードしてやることにしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る