第14話 盗賊団のアジトに潜入

 ブラック盗賊団のアジトへやって来た。

 アジトは山のほら穴につくられている。

 そして、見張りの2人を倒したところだ。


「さて。さっそく中へ入る。お前たちは後ろでしっかり見ていろ。万が一取り逃しがいれば、協力して倒せ」

「「了解しやした。リキヤの兄貴!」」


 俺に同行している村の男たちが元気よくそう返答する。

 俺たちはアジトの中を進んでいく。

 足音の反響具合からして、そこそこ深いほら穴のようだな。

 とはいえ、広大というほどでもなさそうだ。


 しばらく歩く。

 かすかに、話し声が聞こえてきた。


「(野郎ども。本陣は近い。ここからは特に足音に注意しろ)」

「「(承知しやした)」」


 俺たちは、ひっそりと近づいていく。

 何やら明るい一区画がある。

 火を起こしているわけではないようだが、何らかの道具により明かりが灯されているようだ。

 俺は物陰から様子をうかがう。

 その明かりの周囲で、盗賊らしき者たちが酒盛りをしていた。


「はっはっは! 最近は大儲けだな!」

「そうですな。お頭!」


 大男が上機嫌に酒を飲んでいる。

 あれがこの盗賊団のボスか。

 他にも、20人以上のメンバーがいる。


「あの商人、傑作だったぜ! 金は全部渡すから、妻と娘だけは許してくれだとよ!」

「ガハハ! もちろん、許してやったさ! 命だけはな!」

「男の目の前で、妻と娘を犯してやったときの表情と言ったら。爆笑モンだぜ!」


 男たちが上機嫌に笑い合う。

 何やら胸くそ悪い話をしているな。

 強盗と強姦か。


「また明日も楽しめそうだな! そのためだけに、あの男もついでに生かしてやるんだからよ!」

「ま、俺たちが飽きるまでの命だがな! 飽きたら男は殺して、女は奴隷として売りさばいてやるぜ!」


 どうやら被害者たちは、まだ生きているようだ。

 さっさとこいつらを倒して、救出してやろう。


「ガハハ! 売りさばく前に、ガバガバになれねえように注意しないとな!」

「ついこの間までは処女だったのに、今や経験人数10人以上だもんな!」

「なあに。俺たちは経験を積ませてやってんのさ。性奴隷となるときに役立つぜ!」

「「「ギャハハハハ!」」」


 男たちが不快な会話を続けている。

 油断しきっている彼らの死角を利用して、俺はこっそり忍び寄る。


「おおい! 酒がなくなったぞ! 次を持ってこい!」

「お頭。こちらを」


 盗賊のボスに対して、俺は酒瓶を差し出す。


「おお、早いな。気が利くじゃねえか。まだまだ酒を飲んでいくぞ!」

「たくさん飲め。遠慮せず、頭からな」


 俺はそう言って、差し出していた酒瓶をボスの頭に叩きつける。

 パリーン!


「ぐっ! 何しやがる! 殺されてえのか!?」


 ボスがそう言って、俺から距離をとり警戒態勢を取る。

 あまりダメージはないようだ。

 まあ、酒瓶を叩きつける攻撃は意外と攻撃力が低い。

 瓶が割れるので派手なだけだ。

 割れた後の破片で斬りつけるほうが殺傷力は高い。


「お頭! こいつ、見慣れないやつですぜ!」

「なにい!? 侵入者か! 見張りのやつらは何をしてやがる!?」


 ボスがそう言う。


「見張りのやつらなら軽くもんでやったぞ。あんなやつら、居てもいなくても変わらん」


 まあ、見張りをやらされているぐらいだから、立場としては下なのかもしれない。

 ここで酒盛りをしているようなやつらは、立場が上だろう。

 少しは骨のあるやつらがいるかもな。


「ふん! 見張りを2人倒したぐらで、いい気になるなよ!」

「ノコノコ1人で現れやがって! この人数に勝てると思ってんのか!?」

「野郎ども、囲め囲め!」


 盗賊たちが俺を囲む。

 少し後ろで、ボスが俺をにらんでいる。

 あのボスだけは、そこそこやるようだ。

 実際に戦ってみたい。


 しかしその前に、ザコども10人以上を蹴散らさなくてはならん。

 少しは楽しませてくれるといいのだが。

 俺は期待を胸に、戦闘態勢を整える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る