第12話 盗賊の捕虜への尋問
イノシシ鍋のお祭り騒ぎの翌日になった。
さらに数日後には、ブラック盗賊団の討伐作戦が実行される予定だ。
その前に、アジトの場所を聞き出しておく必要がある。
俺は、数日前に俺が捕縛した盗賊団メンバーを収容している半地下牢にやってきた。
半地下牢は村の外れに位置する。
鉄格子越しに男たちを見据え、口を開く。
「よう。元気か?」
「けっ。どの口が言いやがる。てめえさえいなければ、こんな目にも合わなかったのによ」
盗賊の1人がそう言う。
ふてぶてしい態度だ。
確かに俺がいなければ、こいつらはあのままフィーナを強姦してトンズラしていたことだろう。
もしくは、フィーナをアジトに連れ込んでお仲間と楽しんでいたかもしれない。
「終わったことはいいだろう。アジトの場所を教えてくれないか?」
「けっ。だれが教えるかよ」
男がそう答える。
もちろん、こうなることは想定内だ。
そうやすやすとは教えてくれないだろう。
「そうか。なら、仕方ないな」
俺は牢の扉を開き、中に入る。
男は手枷と足枷をされているので、逃げることはできない。
俺は男の指を掴む。
「な、なにを……? 離しやがれ」
男がビビっている。
俺を振りほどこうとするが、もちろん俺は離さない。
俺は力を込めて。
指をあらぬ方向へ折り曲げた。
ボキッ!
「ぎゃあああっ!」
男が叫び、痛みに転げ回る。
目からは涙が流れ落ちている。
「さあ、話すなら今の内だぞ。指はまだ9本あるからな。ああ、いや。足の指を入れたら19本か」
「て、てめえ……!」
「それでも足りなければ、次は歯でも抜こうか? 目でもいいぞ。お前が死ぬまで追い詰める」
「ひっ!」
男が得体の知れないものを見るような目で俺を見る。
これぐらいの拷問は、それなりによくあることだったんだがな。
「そしてお前が死ぬまで吐かなければ、今度は隣の牢のやつに同じことを繰り返すだけだ」
「「……っ!」」
隣の牢から、息を呑む音が聞こえてくる。
次は自分の番かと、恐怖を覚えているのだろう。
「お前たち全員が吐かないまま死ねば、お前たちの勝ちだと言っていい。その場合は、俺は自力でアジトを探すことになる」
少し面倒くさいので、できれば避けたいが。
別にそうなっても大きな問題はない。
敵勢力の拠点を探すぐらいのことは、何度もやってきた。
直接聞き出せたほうが確実で楽だという程度の話だ。
「吐くなら早いほうがいいぞ。骨を折るにしても、うまく加減ができんかもしれんからな。きれいに治るとは限らん。歯や目を失ったら、二度と元には戻らん」
「て、てめえ。人の心はねえのか」
「おいおい。盗賊のお前がそれを言うのか。この村の者たちから事情は聞いているぞ。ずいぶんと好き勝手やったそうじゃないか」
殺人、誘拐、強姦、強盗。
この村だけでも、ずいぶんと被害が出ている。
他の村や通行人の被害を考えると、全体の被害はもっと大きいと思われる。
被害者の言い分だけで全てを決めることはできないが、実際にこいつらはフィーナに対する強姦未遂の罪があるからな。
どうせ、前科はいくらでもあるだろう。
「なに。ちゃんとした情報を渡してくれれば、アジト殲滅後に解放も検討しよう。村人は反対するかもしれんが、こっそり解放することは可能だ」
俺はそう言う。
アメとムチだ。
厳しいばかりでは人は懐柔できない。
おとなしく吐いたときのメリットを提示しておくことによって、裏切りを助長させる。
実際に解放するかは別としてな。
「けっ。だ、だれが吐くかよ……!」
男がそう言う。
強がりだろうが、なかなか根性のある男だ。
1本目で吐くやつもそれなりにいるんだがな。
「2本目」
俺は男の指を掴み、あらぬ方向へ折り曲げた。
ボキッ!
「……! がっ……!」
男は悲鳴を押し殺す。
痛みに喚き散らさないとはな。
結構やりおる。
あと数本は折らなければならないか?
まあ、この男が吐かなくとも、まだ予備はいる。
いざとなれば自力で探せばいいだけの話だしな。
気軽に尋問を進めることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます