オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~
京衛武百十
ジャック
後に<ジャック>と仮称を付けられることになるその個体は、
<
外見上は、<ヴェロキラプトル>という恐竜に似ていた。全身を毛皮に覆われ、頭頂高約百五十センチ。頭から尻尾の先までの長さ約二メートル三十センチ。体重約六十キロ。ヴェロキラプトルよりも大きく、がっしりとした体格で、特に前足はしっかりと<手>の役目を果たし器用に動いた。
前足と後ろ脚の両方にまるで<鎌>のような鉤爪を備え、獲物を捕まえて逃さないと同時に、それこそ鎌のように相手を切り裂くこともできる。
そして
『群れを成す』
ということである。少ないものでも十数頭、多いもので二十数頭にもなるその群れは、サバンナ様の特徴を持つ生息地においては、ほぼ最上位の
群れに襲い掛かられると、
そんな
それはもう、卵の時点で現れていて、彼の卵は、弟妹達のそれより一回り大きく、成長も早く、一番先に孵って、昆虫や小動物をモリモリと食べた。
けれど、彼自身は、後から孵った弟妹達を虐げるでもなく。むしろ邪魔にならないようにとてもするかの如く最も遠いところまで行って、獲物を捕らえた。
彼はそもそも争いごとは好きではなかったようだ。
その恵まれた体を使えば、弟妹達よりも遠くに行けて弟妹達では捕らえられない獲物が捕らえられて、だから何も困らなくて。
しかもジャックは、生後一ヶ月もすると弟妹達よりも倍くらいの大きさに育ち、何と
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