第2話
自己紹介が遅れました。申し訳ございません。
私はライム・レイズ、18才。
ライム家の次期跡取り、一人娘でございます。正妻には子どもが出来ず、妾の子どもとして生まれたのが私です。男爵様と奥様は金髪碧眼、妾の私の母親は漆黒の髪と黒い目。
つまり、私は母親に似ていたのでございます。
私の母親は、私を命がけで産み、力果てたのでございます。
男爵様はその後すぐ病気になられて亡くなりました。
私はライム家と血のつながりのない孤独な存在になってしまったのです。
いえ、同情などなさらないで下さい。
ライム家はこの国の名家でございます。
とはいっても、名前が古くから続いているだけで没落貴族の烙印を押されても致し方ないような、貧乏貴族でございました。
そう、私が15才になり、家の仕事に手を貸すまでは。
私が非道と呼ばれるようになったのは16才の頃でした。
メイド長のユリアが、ライム家の孤児院に寄付をしていたお金を横領していたことに、帳簿をチェックしていた私が気付き、詰問したところユリアはよりにも寄って私に罪を着せ、自害してしまったのです。
奥様は、その頃から私に冷たく当たるようになりました。
私は、孤独を紛らわすかのように仕事に没頭するようになりました。
特に力を入れたのは、孤児達のお世話です。
孤児達には、ボロボロの服のまま、靴磨きや花売りと言った仕事をさせ、合法的にお金を稼ぐ方法を教えました。一部、体を売ってしまう子もおりましたが、限られた自分自身の力を顧みて考えたことと、強く否定することも致しませんでした。
孤児達には字も教えました。芸は身を助くならぬ、学は身を助くですわ。
いいえ、賞賛には及びません。
ノーブレス・オブリュージュ「高貴な身分には義務を伴う」を実戦しただけですもの。
少し、厳しすぎたのかも知れませんわね。
何人かの子ども達は、孤児院を逃げ出してこう言ったのです。
「ライム・レイズは極悪非道の悪徳貴族だ!」と。
そこで私も決意しましたの。
悪役令嬢になるということを。
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