番外編(おすすめ!)
第16話 「2021年8月 web小説サイトポジショニングマップです。
自宅からこんにちは。
今回は趣向を変え、web小説サイトの傾向を表す「ポジショニングマップ」を作成しました。
まず最初に、ポジショニングマップについての説明です。
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ポジショニングマップとは、ある限定した市場を取り上げ、縦と横の軸で四分割し、自社や他社のプロダクト・サービスがどこの象限に近く、どこの市場に価値を見出せるのかを可視化した図となります。各々が考えるアイデアの微差までをアウトプットする作業を経て、競合と比べたマーケットをビジュアライゼーションすることができ、共通のイメージを持つことができる点がメリットといえます。本当に競合は今想定しているブランドで間違いないか、見誤っていないか。市場のホワイトスペースはどこなのか。これらを確認し仮説立てをするためには非常に有効です。
出典:https://www.asmarq.co.jp/column/glossary/word0109/
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うん。なんだかよくわかりませんが、要するに、なんか特徴的な2軸を用意して、比較をすればいいと言うことですね。
そういうわけで、2軸を用意します。
せっかくなので、いままでデータをながめて驚いた要素を軸にしてやってみることにします。
最初に縦軸、こちらは「ジャンル」を軸とします。
続いて横軸、こちらは「タグ」を軸とします。
縦軸の「ジャンル」と横軸の「タグ」それぞれで、サイトの特徴がもっとも発露しやすい項目を選んで、ポジショニングマップを作ってみたいと思います。
せっかくなので、主要web小説6ジャンルを眺めて「自分が一番驚いた項目」で縦軸と横軸を組み立てみたいと思います。
□ジャンルによる縦軸
まずは、ジャンルによる縦軸、これはもっとも母数が多いサイトの第一ジャンルにするのが適当と思います。
つまり「小説家になろう」の第一ジャンル「恋愛」です。
はい、恋愛なのです。個人的に私が一番驚いたのが「小説家になろう」の第一ジャンルが恋愛だったことなのです。もはや「なろう系」は、web小説の主流ではないということです。
なんだかちょっと何言ってるかわかりません。
*なおカクヨムの「ラブコメ」、アルファポリスとエブリスタの「BL」も恋愛ジャンルとしてカウントしております。
□タグによる横軸
つづいて、タグに横軸。
色々と検討しましたが、こちらは「ざまぁ」としました。
なぜ、「ざまぁ」にしたかと申し上げますと「小説家になろう」「カクヨム」
「ノベルアッププラス」「アルファポリス」「エブリスタ」「ノベリズム」6サイトを横断してデータだけで見渡した場合、この「ざまぁ」がもっともサイトの特徴を象徴していると思ったからです。
そしてこの「ざまぁ」が通用するかどうかが、いわゆる「なろうテンプレ」が、有効なサイトか否かを端的に表している事が判明しました。
この横軸は、今後、なろうのトレンドによって「ハッピーエンド」に変わる可能性がございます。とはいえ「ハッピーエンド」は今の所恋愛ジャンルの特化タグであり、縦軸とほぼおんなじ傾向がでてしまうので、「異世界ファンタジー(ファンタジー)」と「恋愛(ラブコメ)」。両方で多用されております、「ざまぁ」といたしました。
それでは最初に、「ポジショニングマップ」を作るために使用したデータがこちら。
恋愛優位比率 ざまぁ優位性
小説家になろう 0.83 0.60
カクヨム 0.26 0.43
ノベルアッププラス 0.08 0.12
アルファポリス 0.93 1.00
エブリスタ 1.00 0.02
ノベリズム 0.13 0.10
それぞれ、
「恋愛ジャンル」の最も多いサイトが「1.00」。
「ざまぁ」タグが最も多いサイトが「1.00」となり、
それ以下のサイトは、そのサイトとの割合を表示しています。
でもって、それを図にしたのがこちら。
いつものように、近況ノートに貼り付けております。
https://kakuyomu.jp/users/kanataro_/news/16816700426495304227
はい、はっきりと、恋愛優位サイトと、そうではないサイト(ファンタジー優位)と、「ざまぁ」タグ優位のサイトが見える化れました。
(そしてカクヨムが一番特徴がわかりづらいサイトです)
ざっと特徴を見てみましょう。
□小説家になろう
・「恋愛ジャンル」が盛況で、「ざまぁ」する話がテンプレとして機能するサイトです。
・webの最大手サイトでございますので、ノイズがまざりやすく、実はトレンドを読むのが難しいサイトでもあります。
・「ハッピーエンド」が今後、恋愛以外のジャンルにも侵食するかは気になりますね。
□カクヨム
・先ほども申し上げましたが、特徴がもっとも表に出てこないサイトです。
・あんなにラブコメ強いって言われているのに、ラブコメ優位性が低い。
・おそらくですが、ランキング首位が変わりづらい集計を行なっているサイトってことになるのかなと思います。
・この分析が正しいなら、今後は「ざまぁ」タグが増えて、ラブコメジャンルも増えていく事になるのですが……はたして。
□ノベルアッププラス
・THE独自サイト。ある意味、なろうの流行から乖離したサイトでございます。
・公式キャラクターがTwitterで活躍しているイメージが強すぎて、その実態が見えづらいサイトでもありますが、「男性向けファンタジーが強い独自路線サイト」と言って差し支えないかと思います。
・女性主人公の男性向け小説や、コメディが多めなのも特徴。
□アルファポリス
・総合ランキングが存在せず、直近1ヶ月に始まった小説のみが対象の「ホットランキング」が総合ランキングの代わりをしているサイトですので、Web小説の流行が、最も発露しやすいサイトです。(カクヨムの対極)
・逆に言うと、サイトの「本当の特徴」が、最もデータで抽出しにくいサイトともいえます。(BL強いのにとってもわかりづらい)
□エブリスタ
・超絶恋愛特化サイトです。(実は「ファンタジー」より「BL」のが多い)
・「ざまぁ」タグも最も少なく、ほどんどなろうの影響を受けていないサイトでした。
・今後、異世界恋愛ものの影響が入り込んでくるのか、ちょっとだけ楽しみたっだりします。
(入り込まないとしたら、なろうはさらに先鋭化がすすんだことになり、今後はDAU低下傾向が発生することになる)
□ノベリズム
・THE独自サイトその2。
・ノベプラや、エブリスタに関しては、そのサイトの独自性があり、「そのサイトに合わせた特化型小説を書く」という最適化も可能なサイトなのですが、ノベリズムに関しては、それすら通用しない独自サイトです。
・そう、いわゆる「なろう系」からは最も遠いサイトです。
・好きな小説をもくもくと書きたい方は、ノベリズムは一番おすすめです。
(DAUという概念は除外しております)
そんなわけで、各サイトの特徴をざっくりとまとめました。
なお、この特徴はあくまで2021年8月現在での特徴です。
なんと言いますが、今はweb小説の過渡期のような気がしますので、半年後には全然違う特徴のサイトになってるかもしれません。
流行は、ある日突然訪れるものではなく、少しずーつ変わっていくものです。
センスが良い人は、それを肌で敏感にかんじとることができるのですが、鈍感なわたしはさっぱりなので、データを見てようやく気がつく、ポンコツなのでございます。しょんぼり。
あ、あと、ポジショニングマップは、もっともデータが恣意的に使われる解析方法だったりします。(解析する人間が、縦軸と横軸をきめるのですから当然ですね)
ですので、
「この分析はまちがってますよ!」
といったご指摘が、一番嬉しかったりします。
「もっと良い、縦軸と横軸がある!」
と言う方がいらっしゃったら、是非ともご意見くださいませ。
検証をしてみたいと思います。
そして今後とも、定期的にポジショニングマップを公開していきたいと思いますので、ちょっとでも役にたったなーと思った方は、ブックマークや評価をいただけると嬉しいです。
数字を見る限り「小説家になろう」そして小説サイトに過渡期が訪れているような感じがしますので、面白いデータが取れるのではないかなと、ワクワクしております。
そんなわけで、次回は、通常運営に戻り、エブリスタのジャンル+タグ解析を行なっていきたいと思います。
統計って……面白!
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