お読みいただく前に
さて、本題に入る前に、幾つか明確にしておきたいことがある。
まずは本書の目的である。
本書において筆者が目指すところは、現在進行形のいじめをストップさせることである。
そのための仕組みを提言する。
いじめを発生させない、予防するというものではない。
とは言え、筆者は専門家ではないので、素人の思い付きをメモにまとめた程度と思ってお読み頂きたい。
子供の世界では、その性質上、いじめの発生は不可避といえる。そのため、本気で『いじめゼロ』を目指すとなると、生徒の行動に対して、様々な制限を加えることが必要となるであろう。そして、まだ存在しないいじめのために、過剰な予防措置を講じるのは、膨大な労力を要する。その労力とコストに見合った成果を得られるとは、到底思えない。
予防に血道を注ぐよりは、発生時の対処に労力を集中出来るようにした方が、より合理的で実効性が高いのではないだろうか。
そして、ここで主に扱う『いじめ』とは、暴行や恐喝などの行為を伴う、濃厚接触型の、謂わばオールドタイプのものとなるであろう。
今後は、社会のIT化に、新型コロナウィルスの影響も加わって、恐らくネットやSNSでのいじめが主流になると思われる。しかし、筆者はITの専門家ではないので、そうしたいじめへの対応は考えていない。もし応用可能であれば、後程考えたいところではあるが、現時点ではどうなるのか不明である。
そのような状況なので、正直言って自分でも、今更これを発表する意義がどれほどあるのか、大いに疑問とするところである。もっと早くに発表するべきだったのかもしれないが、この点は、全て筆者の怠慢に原因がある。
そもそも、本当にこのやり方が有効なのか、実現可能かどうかもわからない。
しかし少なくとも、いじめ問題解決へ向けて、多少は明確なイメージを持って頂くことが可能となるのではないだろうか。
こうした芸当は、教師や研究者ではなく、『作家の異常な想像力』にしか成し得ない種類の仕事ではないかと思う。
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