立派な騎士になるために
帝国の首都『ギアルトリア』。
貴族の住む特別区と、民衆が住む居住区、店が並ぶ商業区、そして鍛冶屋や騎士団の訓練所がある軍部がある。
その特別区では、変な気を起こさないようにと、全ての領主が住んでいる。
それは小貴族や公爵などの立場関係なく、全ての貴族が集う。
いままでこれといった我儘をしなかったものだから、2人は大いに喜んでくれた。わざわざ小さな宴を催すほどであり、その喜びようは見ているこちらまで嬉しくなる。
クリスティーヌ様が王に取り計らってくれると言ってくださったが、やはりそれ相応の期間が必要だろう。
ならば、その連絡が来るまで徹底的に身体をいじめる。どうやら、俺が手に入れたパッシブスキル『スーパーアーマー』は、攻撃を受けても仰け反らない、怯まないという不思議な効果のようだ。
しかも、普通は仰け反ることで衝撃を受け流すものだろうに、このスキルは衝撃を完全にころしてくれる。
もちろんダメージは受けるが、怯まずそのまま攻撃ができるということだ。
「……できた」
『スキル【鉄壁】を獲得しました。スキル【魔法防御壁】を獲得しました。』
この世界には『スキル』と呼ばれる能力がある。
これはかの国教であるオーファン教にて、神に与えられる試練の褒賞であるとされている。
神が取り決めた条件を満たすことで、その能力を獲得し達成者を助ける。
つまり、その条件を満たせれば誰でも新たな力を得ることが出来るのだ。
俺が持っているスキルは、パッシブスキルの【スーパーアーマー】と【自動回復】、【状態異常無効】。スキルの【鉄壁】と【魔法防御壁】だ。
【自動回復】
これは、時間経過によって疲れと傷が癒えるというスキル。その速度はどんな傷も1時間で回復するという性能だ。
しかし、これには弱点がある。どんな傷でも1時間。つまり、軽い擦り傷でも1時間必要となる。
幸い傷を負うごとに時間がリセットされることはなく、どうやらキズひとつひとつにカウントがつくようだ。
王宮にて治療を受けた際に獲得した。どうやら、一定数の治療を受けなければ手に入らないらしい。
【状態異常無効】
これは何度も魔法で火傷や凍傷などになった結果、獲得できたパッシブスキルだ。
その名の通り、毒や火傷などにならないらしい。
しかし、炎魔法などは含まれる魔力での攻撃に属性を付けたものなので、魔力でのダメージは受ける。
【鉄壁】
これはたったいま手に入れたスキルだ。これは、発動すると解除するまで物理的ダメージを軽減する。
剣などで身体を切られることはないが、切られた痛みと、身体にダメージが残る。
度重なる暴力を受け続けた結果、少し自分を鉄製の棒で叩いただけで獲得できた。
【魔力防御壁】
これは、魔力による攻撃のダメージを軽減するスキルだ。発動すると、解除するまで薄いピンクのオーラが身を包む。
魔法の属性は防げないが、【状態異常無効】でなんとかなるだろう。
このスキルについて本で知った時は、両親に頼んで魔法で攻撃してもらった。かなり渋っていたが、今までの魔法で攻撃されていたことである程度達成していたらしく、数発で終わった。
これらは完全に防御専門のスキルだ。騎士となるのであれば、守ることに特化した良いものばかりかもしれないが、やはり攻撃関連も欲しいものだ。
しかし、俺はまだ身体が強いと言われるほどではない。
重いもので、身体をいじめ抜く。筋肉が傷つこうと、今までの仕打ちに比べればどうということはない。
壊しては治し、壊しては治しを繰り返していれば、自然と筋力は付くものだ。
だが、筋力をつけたあとはどうしよう……近くにある森にでも行くか。
確か、あそこには魔物も少しはいたはず。
そこで戦い方を学べば、さらに強くなれるかもしれない……あれ、これって騎士がすることじゃ……いや、これぐらいの逆境を乗り越えてこその騎士だ!先に地獄を知っておくのもいい経験になるはずだ!
そうと決まればすぐに父上と母上から許可を貰いに行こう!
目指すは、相手がどれほど強大でも人々を守れる、最強の騎士だ!
━━━とあるメイドの日記より
最近、我らがエンドリー家の跡継ぎであるドラングル様が無理をなさっている。
筋力の鍛錬だといってとても重い樽を持ち走り込みに行ってしまった。そんなことをすれば当然、筋肉が悲鳴をあげ、はち切れてしまう。
しかし、ドラングル様はパッシブスキル『自動回復』によって回復し、再び筋肉に負荷をかける。
それをここ数週間繰り返している。【状態異常無効】のお陰なのか体調を崩すことはなく、だんだんと普通の男性よりも筋肉質になっていく。
いや、今まで見てきた男性がみな細すぎたのだろう。胸板も厚くなり、ガッシリとした体型になったドラングル様はとても艶めかしかった。
貴族の方々は上質な魔法力により姿が自然と整うとされており、ドラングル様も例外ではない。しかし、そこにあの男らしい締まりのある身体とはもう反則じゃないでしょうか。少しズルすぎる気も━━━━━━━━━━━━
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