パッシブスキル『スーパーアーマー』を手に入れた我氏、いつの間にか龍騎士団の長になってました
サンサソー
プロローグ
ドラングル・エンドリー 誕生!
この世は魔法で回っている。
神より与えられし魔法力。それを用いて魔法を行使するのが当たり前。
全ての仕事にも魔法が必要であり、どのような魔法が使えるのかで未来が決まる。
魔法とはこの世界を生きるためには必要不可欠なもの。魔法に頼りきっているのがこの世界の現状だ。
もし、そんな世界で魔法力を持たず、魔法を行使することが出来ない者が現れるとどうなるか。
それはそれは蔑みの目で見られ、お前は人間ではないと罵られる。
自己紹介が遅れたな。俺の名前はドラングル・エンドリー。小貴族の跡継ぎとして産まれた、魔法力をほとんど持たない''なりそこない''だ。
エンドリー家。
このマヌカンドラ帝国が大陸に芽吹いた頃から仕えている小貴族だ。
しかし、この家は武勲を上げてもいないし、産業で大成もしていない。しかし、年季はあるために発言権はある程度有していた。
大したこともしていない小貴族が発言権を持っている。当然、他の貴族からは目の上のたんこぶとして良い感情を向けられてはいない。
俺の両親はそういった目線や態度に敏感であったため、いつも相手を立てる立ち回りをして余計なストレスを与えないようにしていた。
しかし、小貴族でもやはり領土を持つ。それらの経営や他の貴族への対応に忙しく、俺はあまり構ってはもらえなかった。
さて、そんなエンドリー家の跡継ぎとして産まれたのが俺だ。ドラングルはドラゴンからとったらしく、強く立派に育ってほしいとつけてくれたらしい。
しかし、俺は小心者に育ってしまった。突然のことには頭が働かなくなり、身体もやはり細い。
身体に関しては、この世界では魔法に頼りきっているせいでしっかりとした身体を持つ者はほんの僅かしかいない。子どもも身体が貧弱な者たちから生まれれば、やはり身体が弱くなる。
それに、俺も例外なく当てはまっていた。
そんな俺に、さらなる悲劇が襲いかかった。俺には、魔法力がほんの僅かしか無かったのだ。
せいぜい魔道具を起動させるぐらいの量で、魔法などとても発動することは叶わない。
貴族は、平民よりも高い魔法力を持つ。その魔法力によって強力な魔法を行使し、下々の人間を支配するのだ。
しかし、俺が持つ魔法力は質こそ上質なものではあるものの、平民にさえ届かない量。魔道具を起動するのがやっとのことなど、貴族にあるまじきことだ。
嫌悪されるエンドリー家、貧弱な気の弱い子ども、魔法力の無い神に見捨てられた者。
そんな俺は当然のごとく迫害を受けた。子どもにも大人にも罵詈雑言を浴びせられ、嘲笑われ、さらには暴力や魔法によって痛めつけられる日々。
両親も今までの立ち回りが祟り、強く出る姿勢を出そうにもいまいち効果が薄い。下手に出ていたせいで完全に侮られてしまっていたのだ。
来る日も来る日も傷だらけになり、幾度か死にかけることもあった。両親が必死に看病してくれたが、それも焼け石に水。傷は増え、俺の身体はボロボロになっていく。
幸い母上が回復魔法のスキルを所持していたため、死ぬような致命傷でも何とか生き延びることが出来た。
俺は神に見捨てられた人ならざる子、''なりそこない''と呼ばれ、両親以外に俺を気にかけてくれる人はいなかった。
多忙ながらも、母上は俺を愛してくれた。抱きしめ、頭を撫でながら歌を歌ってくれる。
父上は、幅広い知識と俺の気の弱さを隠すための鉄仮面や、固い喋り方と態度を教えてくれた。
それに並行して身体を鍛え始めた。ちょっとやそっとの攻撃じゃ怯まないような、強靭な身体があれば、日々の暴力にも耐えられるだろうと思って。
努力の甲斐あって、俺は小心者とは見られなくなり、辛い現実も耐え忍ぶことができた。
いつか、俺はみんなを見返せるような男になる。両親のために精一杯働くんだと誓った。
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