第164話 マッドサイエンティスト

…アーチャー・ランサー視点…


『いや~、あのカラクリ達には申し訳ないっすけど、無事脱出できてよかったっすね♪』


アーチャーの言葉にランサー達は頷くと、研究室の奥を目指して進んだ。


研究室は細長く造られており、両サイドには実験体が閉じ込められている檻やホルマリン漬けの標本のようなものが所狭しと並んでいた。


その研究室を少し進むと、薄暗かった部屋が急に明るくなり、奥から白衣を着た男が現れた。


「やあ♪美人さん二人とむさ苦しいお兄さんたち♪僕は、この研究所の最高責任者マッドサイエンティストのサカキバラだよ♪突然だけど、死んでちょ~だいな♪」


パチンッ!


白衣の男-サカキバラ-が指を鳴らすと、アーチャー達の立っている床が抜け落ちた。


「キャハハ~ッ♪バァ~カッ!無防備に歩いて来るから、そんな簡単なトラップに引っ掛かるんだよ♪次に生まれてくるときは、もっとお利口さんに生まれてくるんだね~♪ああ、落とし穴の底は毒がたっぷり塗ってある槍が敷き詰めてあるからって、もう聞いてないよね♪アハッ♪でも、美人さんはちょっともったいなかったかな♪」


シュタッ!…シュタッ!…シュタッ!…

… … …


アーチャー達は、落ち着いた様子で落とし穴から飛び出してきた。


『ウチの部隊は全員、”天歩”か”空歩”スキルを持ってるっすから、落とし穴は効かないっすよ♪あと、天井から降ってくる槍も効かないっすよ♪』


アーチャーはストレッチをしながら、サカキバラに問いかけた。


サカキバラは、懐から何かのアイテムを取り出し魔法陣を展開し始める。


「キャハハッ♪そうこなくっちゃッ!僕の造ったカラクリ人形達を紹介するよ♪まずは、カラクリ1号だッ!この子は入り口にいた出来損ないとは違ってユビタスが居なくなっても完全に僕の言うことを聞く優秀な子さッ!今…召喚…??…ア…レ…ヤ…ラ…レ…チャッ…タ?…ビ…ビ…ビィーーーーーーーーーーー…ジジッ…ジジッ…ピシュゥゥゥゥ…」


サカキバラの胸をラースが貫いてた。


ランサーは、まるで訓練用の的を倒したときのような手ごたえの無さに違和感を感じていた。


『血が出ない…。人間じゃない…?ゴーレムか!チィッ!ラース、コアは貫いたか?』


“間違いなく貫いた。ゴーレムはコアを残しておくと自爆されたりと厄介だからな。ところで、忠王様の件は…”


『…そんな暇は無いようだぞ。』


ランサーが部屋の奥を指さすと、無数のカラクリゴーレムが近づいて来ていた。


アーチャーは弓を構えながらブレイブのような獰猛な笑みを浮かべた。


『サカキバラ君の能力はカラクリを造り出す系っすね♪自分の影武者もカラクリで造るなんてやるっすね♪しかも、そのカラクリ、精霊の魂を無理矢理に注入して造っているっすよね~♪いや~久しぶりに超特大のクズに会って、やる気出てきたっすよ~♪』

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