第119話 出てこいや

…半年後…


コウスケ達は、前回と同様に上位龍と海底龍が管理していた龍脈の源泉を独自のシステムに組み込み、ハッキングモンスターを使いながらテリトリーを拡大していった。


上位龍が管理していた龍脈のエネルギーは、調律には使用せずに水の返還作業と精霊の回復に使用したため、塩湖状態になっていた海は、半年間で湖ほどの大きさまで回復していた。



モンタは海を眺めながら驚きの声をあげていた。


『ほえぇぇッ!これが海かッ!デッケェな~。』


「まだまだこんなんじゃないよ。これの何倍も大きくて、生き物も沢山いるんだ。本当はもっと早く大きくしたいんだけど、影響が大きいから塩分濃度を管理しながら少しずつ広げてるんだよ。」


(海の再生って、めちゃくちゃ大変…。こういうものって大抵壊すのは簡単だけど、直すのは難しいんだよな。これから、水質を改善してくれる生物を増やしたり、堤防や水門とかを整備したりと課題や山積みだな…。まぁ、楽しく暮らしながら少しずつ進めていくとするか。)


…ザバァ…ザバァ…ザバァ…


そう考えていると、海の中央付近に大きな渦が発生し、その中央からシーサーペントより一回り以上大な蛇型ドラゴンが現れた。


(…ようやく来たか。)


「モンタ、鑑定できた?」


モンタは、コウスケの肩に飛び乗り、鑑定結果を伝える。


『あれは、水中では世界最強の龍といわれている“リヴァイアサン”だな。ステータスは文字化けして見えねぇ。スキルレベルも見えねぇが、水操作系のスキルや水系の魔法のオンパレードだ。流石、水生生物最強といわれるだけあるな。』


(こちらの海が一定以上の水量になるのを待ってから攻めてきたか。いずれにせよ、ここで勝負を決めるしかないな。せっかく、ここまで再生したのに台無しにされたのではかなわないからな。)


リヴァイアサンは声に魔力を込めて叫び始めた。


『此度の事件の首謀者と話がしたいッ!聞こえておるのだろう?出てこいやぁぁぁッ!』


(どこのプロレスラーだよ…。感情的なヤツと話をしても、一方的に要求を押し付けられるだけだから話し合いなんてしたくないんだよな…。)


『早く出てこいと言っとるんじゃいぃぃぃぃぃぃぃッ!あと10分以内に出てこない場合は、津波を起こしてここ周辺を滅茶苦茶にしてやるからのうぅぅぅぅぅぅッ!早く出てこいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!キィィィハァァァァッ!』


…ビビビッ!…


(「超直感」が発動したな。広範囲攻撃か…。10分と言ったくせにその前に津波を起こすつもりか。やはり、感情的な相手と交渉は意味がないな。)

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