第79話 小物感が半端ない

コウスケが影に飛び込むと、ホーリードラゴンの白がコウスケを出迎えた。


『主様、ご無事で何よりです。なにもありませんが、どうかおくつろぎください。』


配下のドラゴン達が整列し、奥には玉座らしきドラゴンのモチーフが彫刻された豪華な椅子が用意されていた。


(これは何処かの国の独裁者が座るような椅子だな。)


モンタと赤ゴブがはしゃぎながら、椅子に向かって走り出した。


『うぉぉぉ親分ッ!こんな豪華な椅子初めてみましたよ~。』


モンタが椅子に座りくつろぎ始めた。


『うん。オイラにピッタリの椅子だなッ!』


(モンタには刺さったようだな。しかし、赤ゴブは小物感が半端ないな。こんなキャラだったっか?)


モンタと赤ゴブのやり取りを見ていた白は、驚愕のあまり立ち眩みをおこした。


『主様のために用意した椅子が…。』


(白、ごめんね。モンタはあの調子だと、“この椅子、オイラにくれ”って言うと思うんだよなぁ。)



コウスケは気を取り直して、ユニークスキル「超直感」が警告音を鳴らさないか注意しながら転移門の準備をする。


まず、転移門を開くための魔力を少しずつ練り始めた。


【…転移門…トラップダンジョン「迎撃の間」…接続完了…】


(よし。警告音は鳴らないな。)


コウスケはドラゴンも通れる巨大な転移門を開いた。


(…うん?転移門の設置がいつもよりもスムーズだ。消費MPも少ないし…。ダミ吉が進化したのかな…。)


そう考えていると、ダミ吉から通信が入る。


<マスター。お疲れ様ッス。突然ッスけど、実は相棒にしたいヤツがいまして、紹介しても良いッスか?>


(うん?転移門の設置がスムーズだったことと関係あるのかな?)


「良いよ。」


コウスケがそう言うとダミ吉そっくりの声が聞こえた。


<我王様。お帰りなさいだぜ。オイラ、ダミ吉の兄貴を“真似”することもできるし、きっとお役に立つんで、どうかお側にお仕えすることを許してくれですッ!>


<マスター。エンヴィーのヤツがいきなり転移してきたッスけど、よくよく話を聞いたら悪いヤツじゃ無いみたいじゃないッスか。めちゃくちゃ役に立つ能力も持っているみたいだし、相棒にしたいんすよ。もちろん、一人前になるまでは、重要なシステムは触らせないッスけどね。>


<ダミ吉の兄貴ぃぃぃぃぃぃぃッ!>


(赤ゴブに続き、また子分キャラが増えたな…。)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る