第60話 世界の鉄則

…トラップダンジョン マスタールーム…


<マスター、ブレイブ達が敵を殲滅したッス~。死亡者はゼロッス。見事ッスね~。>


(あの様子じゃ、ブレイブは不完全燃焼だっただろうな。さて、自称ダンジョン神は次は何をしてくるかな。)


「自称ダンジョン神に動きは?」


<旧ダンジョンシステムに自爆信号を送ってきたっすけど、送り返してやったっす。それ以外には何もないッスね~。>


(支配するにもハッキングのような方法しかできないし、壊そうにも自滅信号を送るようなやり方しかできない。やはり、こちらの新システムのようにプログラムのようなものを使って管理していると考えるべきだな。となると相手の土俵に入っても問題ないな。でも、万が一があるからこちらも小手調べといくかな。)


「ダミ吉、この前開発したハッキングビーとハッキングスパイダーは出れる?」


<マ、マスター、ハッチャン達を使うッスか~?まだプログラムが不完全で破壊することしかできないッスよ。…アッ!破壊するだけで良いから大丈夫ッスね~。アハハ~。>


(プログラムを乗っ取って再構築出来るようになるにはまだまだ時間がかかるけど、ただ破壊するのであれば開発途中のハッキングモンスターでも十分だ。)


「それじゃ。ダミ吉、ハッキングビー達を送り込んで。あと、ダンジョン神のダンジョンに毒入りの熱湯を死ぬほど送り込んで。」


<了解しました。マイスター。>


……


ダミ吉に指示を出して暫くすると、ダンジョンバトルのアナウンスが流れた。


【ダンジョン神がサレンダー(降伏)しました。】


・受け入れる

→ダンジョン神のダンジョンの保有DP、モンスター、アイテムをすべて獲得する

・受け入れない

→ダンジョンバトルを続行する


(確実に罠だな。考える余地もない。)


コウスケは”受け入れない”を選択した。


……


また暫くすると、ダンジョンバトルのアナウンスが流れた。


【ダンジョン神がサレンダー(降伏)しました。】


・受け入れる

→ダンジョン神のダンジョンの保有DP、モンスター、アイテムをすべて獲得する

・受け入れない

→ダンジョンバトルを続行する


(…しつこいな。)


コウスケは”受け入れない”を選択した。


……


……


さらに暫くすると、ダンジョンバトルのアナウンスが流れた。


【ダンジョン神がサレンダー(降伏)しました。】


・受け入れる

→ダンジョン神のダンジョンの保有DP、モンスター、アイテムをすべて獲得する

・受け入れない

→ダンジョンバトルを続行する


(………。)


コウスケは”受け入れない”を選択した。


……


<マスター。自称ダンジョン神が交渉したいと言っているッス~。>


(システムによるサレンダーを使うのをやめて、システムを通してメッセージを送ってきたか。テロリストとは交渉しないのが世界の鉄則なんだよ。要求を通すとロクなことが起きないから。)


「交渉はしない。ところでハッキングモンスターの進捗は?」


<う~ん。20%くらいッスかね~。毒熱湯は放出を開始したッス~。毒は環境に配慮してマンドレイクの根から抽出した神経毒を使ったッス。>


(この短時間で20%とは…。いままでシステムに侵入されたことがないんだな。無防備としか言いようがない。毒は軽い麻痺毒のつもりで指示したけどマンドレイクとは…。流石、ダミ吉。南無阿弥陀仏。)


「ありがとう。引き続きお願い。」


<了解しました。マイスター。>


……………


<マスター。自称ダンジョン神から泣きながら土下座して降参している画像が送られてきたッスけど~。>


映像を確認すると妙に露出度が高い服を着た幼女が泣きながら土下座していた。


(自称ダンジョン神の見た目は幼女か。幼女に変身しているのか、身代わりを立てたのかわからないな。しかし、相手の容姿がなんだろうが世界の鉄則は変わらない。)


「方針は変更しない。引き続きお願い。」


<了解しました。マイスター。>


……………


<マスター、自称ダンジョン神がトラップダンジョンに現れました。>


(ついに来たか。神話の軍勢でも連れてきたか?)


「相手の軍勢の構成は?ドラゴン種、デーモン種、エンジェル種、巨人種…それとも新たな種族か。」


<いえ、自称ダンジョン神の幼女一体だけッス。泣きながら白旗上げてるッスね~。>


「…………………。」

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