第42話 待ち伏せ

………レベルアップしました………


……ユニークスキル「交換」を発動します。ダンジョンマスターと「交換」したいものを1つ選択してください………


・職業オーブ(ダンジョンマスター)

・交換しない


……ユニークスキル「交換」を発動します。ダンジョンコアと「交換」したいものを1つ選択してください………


・ダンジョンコア(所有者:未登録、人格なし)

・交換しない


(白旗を上げてたのはダンジョンマスターだったのか。)


コウスケが職業オーブとダンジョンコアを選択しようとした時…


パリンッ!


目の前に転移魔法陣が現れて、20代くらいの金髪の男が叫びながら斬りかかってきた。


「貴様ァ!!!なぜ、白旗を上げてる者を殺した?」


コウスケは、クロンで男の剣を受けとめた。


「これはダンジョンバトルです。降伏を受け入れるも受け入れないのも自由の筈です。システムを使ってサレンダー拒否の意思表示は既にしていましたし、あの状況であえて白旗を上げる行為を、罠であると判断させてもらいました。」


淡々と答えるコウスケに、男は更に激昂し、移動系スキルで距離をとり、攻撃魔法を発動する。


「チッ!話をしても無駄かッ!仕方がない…その気味の悪い緑色の“神殺し”は返してもらうぞ!!“ドラゴンライトニング”!!!」


コウスケも同じ魔法を発動する。


「“ドラゴンライトニング”」


同じ雷魔法をぶつけて相殺すると激しい爆発が起こった。


コウスケは、わずかに生じた時間で並列思考と思考加速を使い現状を分析した。


(転移魔道具、剣術スキル、縮地スキル、雷魔法、身のこなし、どれをとっても洗練されている。ユニ達も別のヤツらに襲撃されてる。しかも、今の状況と俺の正体を把握したうえで待ち伏せしてたか。恐らく、本隊は白旗を上げてたヤツの近くで待ち伏せてたな。これは、長引かせると不利だ。)


…”短距離転移(時空間魔法)”…

…気配遮断、気配察知、念動力、縮地スキル発動…

…“ディメンションシャープエッジ(時空間+風+付与魔法)”…


コウスケは、魔法とスキルを発動して、男の背後に接近した。


一方、背後に接近されていることを知らない男は更に強い魔力を練りあげて、新たに攻撃魔法を発動した。


「反逆者に神の裁きを!!!”サンダーエクスプロージョン”!!!」


激しい爆発が起こり、勝ち誇ったかのように男が笑いだした。


「アハハッ!どうだ上級雷魔法”サンダーエクスプロージョン”の威力はッ!!!この魔法は相殺できまい!」


(高レベルの雷魔法。発動もなかなか早い。転移で回避して正解だったな。)


『コウスケ、油断せずに行くぞ!!相手はジュゼ王国じゃ!どんな手段でも使ってくるぞ!!』


コウスケは、念動力スキルで跳躍しながら、クロンを両手で振り上げ、力一杯振り下ろした。


時空間属性を付与した斬撃は、男の結界を破り、無防備な男の背中を傷つけることに成功した。


そして、油断せずに追撃をかける。


“ガイアウォール(土魔法)”

”フレアブラスト(火魔法)”


発動が早い土魔法で逃げ道を塞ぎ、灼熱の火炎弾を放つ。


男は、突然後ろから斬りつけらたうえに、視界を塞がれ燃やされたことでパニックになった。


「ウギャァァッ!!!!な、なぜ後ろに!?マジックアイテムで展開した時空間フィールドが破られた!?…ゲフッ…!…ッ!…体が動かない!?…いつの…間に…マヒ毒を?」


(クロンがマヒ毒を付与してくれたのか!?なんにせよ、チャンスだ!)


コウスケは、男がパニックに陥っている隙に、次の行動に移る。


「…聖剣-クロン-反転解放…」

≪…咎人の千剣…≫


クロンが黒に変色し、周りに血濡れた黒剣がいくつも現れた。


「破ッ!」


漆黒の刃が、赤い血を撒き散らしながら、追い詰めるかのように男に襲いかかる。


男は、持っていた剣で黒剣を防ぎながら、懐から“帰還石”を取り出した。


「な、なんだ…。情報と違うぞ。こんなに強いなんて聞いていないッ!な、なんだこの禍々しい剣は!?血を撒き散らして襲ってきやがる!じょ、冗談じゃないッ!あの糞王女めッ!騙しやがったな!もう退却だ!!ー“帰還石”ー」


男の足元に魔法陣が現れ光だした。


(帰還石で逃げるのか?帰還石にも妨害魔法が効くか試してみるか。)


コウスケは、闇魔法で魔法の発動を妨害してみる。


…”マジックジャマー(闇魔法)”…


パリンッ!


「な…、なに!?帰還石が破壊された!?落ち着け…。ハァ、ハァ…。グ…ギュグ…バァ…毒が…こんな…に早く!?と…り…あ…え…ず、“神殺し”用の解毒薬を…」


…咎人の千剣…

…爆裂スキル付与…

…総攻撃スキル付与…

…時空間魔法付与…


「『…ブラッティレイン…』」


攻撃に参加しておらず上空で待機していた漆黒の刃は、スキルで強化され、男に降り注いだ。


「ヴクッ!ウギャァァ~ッ!!!グ…ギュグ…バァ…た…の…む…た…す、け………俺は…S級て…冒…険…者……」



………レベルアップしました………


……ユニークスキル「交換」を発動します。対象と「交換」したいものを1つ選択してください………


・雷魔法Lv:5

・縮地スキルLv:5

・剣術スキルLv:5

・ステータスオーブ(攻撃+250)

・交換しない


コウスケは、雷魔法を選択した。


『コウスケ。転移元の場所が特定できた。行ってくる。』


「うん。無理はしないで。一つくらい失敗しても影響ないから。」


…咎人の千剣…殲滅形態に移行…時空間転移実行…転移先空間にいる生命体の殲滅を開始…


『うむ。では行ってくる。』

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