第40話 妖精の森
…妖精の森…
『ユニ、コウスケから貰ったミスリルの塊達を出すぜ!-モンタのアイテムボックス-』
モンタのアイテムボックスから大量のミスリルが放出された。
「≪土の精霊≫さん!」
…土の精霊魔装…
≪ガイアゴーレムタクト≫
…ガイアミスリルゴーレム起動…
ユニは、精霊魔装を使い、モンタが取り出したミスリルでゴーレム軍団を造ると、一回り大きな隊長機の肩の上にモンタと一緒に飛び乗った。
『モンタのゴーレム軍団出撃~!』
モンタの号令でゴーレム軍団が進軍する。
「…やはり、モンタの号令で動き始めた。“モンタのアイテムボックス”に収納した素材でゴーレムを造ったことが影響しているの…?」
妖精の森は、トレント等の植物系モンスターやフォレストビー等の蜂系モンスター、ピクシー等の妖精系モンスターで構成されたダンジョンであったが、強力なパワーに加えて、状態異常が全く効かず、魔法が効きにくいミスリルゴーレム軍団とは最悪の相性であった。
ストレスなくダンジョンを進んでいった結果、モンタはすっかりピクニック感覚になり、アイテムボックスから取り出したおやつを食べながら、鼻歌を歌っていた。
『~♪ユニも食べてみろよ。コウスケの作った“みたらし団子”、すげ~旨いぜ!』
ユニは、モンタが差し出した“みたらし団子”を高速で受け取ると、耳を上下に動かしながら大切に食べ始めた。
「モグモグ…。しかし、強いモンスターが全くいませんが、何かの罠なのでしょうか?」
罠を最大限警戒していたが、敵の数は多いものの、ユニ達が罠と呼べる仕掛けはなかった。
『気味が悪いくらいイージーなダンジョンだな。これじゃ、オイラの新技が試せねぇじゃねぇかよぉ。』
ユニは、“調子が良い時ほど足元をすくわれ無いように”というコウスケの言葉を思いだし、召喚石を使い、ソニックバードを呼び出した。
「念には念を入れて索敵能力を強化します。ソニ子!種族スキル≪ソナー≫で、索敵をお願いします。」
ソニックバードは、嬉しそうにユニの周りを飛び回り、音波を使った索敵を開始した。
『ユニ…。”ソニ子”なんて、可哀想な名前つけるなよ…。』
ユニは、”みたらし団子”の最後の一つを食べさせてもらって上機嫌になっているソニ子を撫でた。
「ソニ子は、このように喜んでいますし、コウスケ様にも“良い名前だ”と褒めていただきました。モンタ、自分にネーミングセンスが無いからといって、その様なことを言うものではありませんよ。」
ユニの勝ち誇った顔をみて、モンタが言い返そうとした時、種族スキル≪ソナー≫で空中に浮かぶ小さな物体を捉えたソニ子は、もう一つの種族スキル≪ソニックブーム≫を発動させた。
…パキッ!
「なにか壊れたみたいですね…。」
『ハハッ!ダンジョンコアだったりして…。』
「フフッ!モンタ、こんなところにダンジョンコアを設置する愚か者はいませんよ。」
『ピュイ♪』
ソニ子を見ると…
……スズメのような姿だったソニ子が“小型の鷲のような姿”に変化していた……
『ソニ子。進化してるんじゃね?【称号】にダンジョン踏破者ついてるし…。』
「ほ、本当に、ダンジョンコアを破壊した……!?」
『ピュイ!』
………妖精の森の崩壊が始まった………
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