第5話 ネット友達でしかないんだ

 遅くなってしまってすみません! また少し体調を崩しておりました。

 季節の変わり目、体調を崩しやすい時期になっておりますので皆さんも十分にお気をつけくださいね。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




『美亜、大丈夫か? 何かあった?』


 美亜の呟きを見てすぐDMを送った。何か困ってることがあるなら力になりたい。離れているからこそ、彼女が言ってくれなければ彼女が困っていても気が付けないのだから、気が付いた時はできる限り助けになってあげたかった。


 ピロンッ。


 スマホが新たなメッセージを告げる。急いで確認すると思った通り美亜だった。


『大丈夫です』


 彼女らしくない淡白な返事。


『絶対大丈夫じゃないよね?』

『そんなことないです』


 頑固だ。俺はちょっといらっとして意地悪な質問をする。


『俺に相談ってそんなにしづらい?』

『そ、そういうわけでは(´;ω;`)』

『じゃあ何? そんなに頼りない?』

『頼りなくなんて……!』


 必死そうな文面。俺は苦笑を漏らす。ネット友達の俺になんて簡単に相談できるわけない。わかってるのに、わかってるはずなのに意地悪な質問をしてしまった自分に嫌気がさす。


『ごめん、わかってる。でも、何かあったらいつでも聞くから1人で抱え込むなよ』

『ありがとうございますm(_ _)m』


 どんなに言葉を尽くしても彼女は相談してくれないだろう。そんなことがわかる機械的な返事。

 俺は悲しくなってスマホを放り投げると、ベッドに寝転んだ。


「痛っ」


 勢いよく寝転んだせいか頭を横の壁にぶつける。ぶつけたところを触ると、たんこぶになりそうだった。ズキズキと痛い。


「はぁ、今日はなんか色々あったな……」


 独り言が部屋に虚しく響く。数学のテストに、奏季の追及に、美亜の呟き。


 思い出されるのは一緒にライブを見に行った時の美亜の無邪気な笑顔。顔を見ることは叶わないけど、それでもあの笑顔を美亜が浮かべていると思うことができれば、こんなに虚しい気持ちにもならないだろうに。


 唐突に写真が見たくなる。放り投げたスマホを手にとってあの日とった写真を開いた。


「やっぱめっちゃ美少女だよな……」


 首を傾げた美亜が写っている。結局削除するように言われることもなく、あの日俺がとった写真はスマホの中に保存されていた。


「この気持ちってなんなんだ……?」


 不意に湧き上がる感情に戸惑う。マックドでも感じたこの気持ちはなんなのだろうか。


 たった一回しか会ってない女の子相手に恋するのか? 否である。大体最初の印象は『やばい子』だったのだ。一目惚れでもないのだから、そんな子相手に恋するわけがない。


 俺は恋であることを否定する。いや、一男子として惚れやすいやつだと思われるわけにはいかない、俺の名誉のためにも!


 スマホを持った片手を突き上げる。と、力が急に抜けてスマホが顔面に……。


「ブヘッ」


 思いっ切りスマホが鼻に直撃する。出てきた声が何かの鳴き声みたい……てか、いてぇ……。


 鼻を押さえてうずくまっていると、スマホがメッセージが届いたことを告げる。

 美亜からかと思って期待して見ると、奏季だった。落胆する。


『許可取れたー?』


 美亜の写真の件だろう。どんだけ見たいんだよ。まぁ、こんな状態で許可なんて取れるわけがない。


『取れなかったー』

『残念(´;ω;`)』


 泣き顔が送られてくる。いや、許可取れると思っていたのかよ!?

 まあ、取れなかったんじゃなくて取らなかった、が正しいがそれは言う必要ないだろう。


『女の子だし、見知らぬ男に写真なんて見られたくないでしょ』


 ちょっとイラっとしながらもちゃんと返す自分偉い。自画自賛してると、なるほど、というスタンプが送られてきた。


 可愛らしいクマのスタンプ。男が送ってきたと考えるとちょっとあれだが、奏季ほど可愛いと喜ぶ男子もいそうだな、となんとなく思う。


 って俺何考えてるんだろ。今日は色々ありすぎて頭が働いていないらしい。思考がだいぶおかしくなっていた。


「もう、寝るか」


 まだ夕方にも関わらず、俺は眠りに落ちていくのだった。




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