【2章開始!】ネットで出会った美少女と実際に会ってみたら何故か好感度MAXだった。彼女が積極的(ポンコツ)すぎてSの性癖に目覚めてしまったので責任取ってもらうことにします。

美原風香

第1章 出会い

第1話 ネットで出会った女の子は美少女でした

「えっと、響夜きょうやくん、で合ってるかな?」

「え……? どちら様ですか?」


 駅前の広場で待ち人をしていた俺に話しかけてきたのは、胸まであるライトブラウンのストレートヘアー、二重のぱっちりした大きな目、陶器のように真っ白な肌を持つ、『美少女』と形容するにふさわしい少女。俺にこんな美少女の知り合いはいない。


 だが、彼女ははっきりと『響夜』と言った。それはつまり.......?


「違ったかな? それならごめんなさい」 

「あ、いや、俺が響夜であってるけど......」

「やっぱり合ってた」


 そう言って美少女は微笑んだ。その様子に俺は確信を持つ。


「も、もしかして、美亜みあさん?」

「そーだよ! やっほー、響夜くん!」


 半ば予想できていたことだが、それでも俺は唖然とした。『美亜』とは今日会う約束をしていたネット友達の名前だ。まさかこんな美少女だったとは......てか急にテンション高っ! 


「あー良かった! てっきり知らない人に声かけたのかと思っちゃった。でもやっぱ面影残ってる……」


 後半の言葉が小さくて聞き取れなかったが、俺はテンパっててそれどころではなかった。


「ご、ごめん、ちょっと想像と違ったから......」

「想像と違ったってなにを想像してい......わっ!?」

「ちょっ!?」


 美少女は一歩近づいてこようとして何もないところで転けそうになる。前に倒れそうになった彼女を慌てて支えると柔らかいものが右手に当たった。


「あっ♡」

「ご、ごめんっ!」


 甘い声が聞こえた気がする……? まぁそんなわけないだろう。だが、慌てて手を離そうとしたら俺の手に自分の手を重ねてくる。

 なぜ!?


「触りたい?」

「い、いや……」

「へぇ、いいんだ?」

「触りたいです!」

「ふふっ、どーぞ?」


 モミモミモミ……。


「あんっ……」


 美亜さんの甘い声にはっとして、慌てて柔らかい膨らみから手を離す。

 俺は今何をしていたんだ!?

 周りを見回すとギョッとした表情を浮かべて足早に去っていく通行人が数名。

 ……すみません。


「も、もういいの?」


 顔を真っ赤にしてもじもじしながら上目遣いで聞いてくる。

 ぐはっ。美少女の破壊力凄まじい……!

 流されないように首をブンブン振る。てか、初対面の男に胸触らせてるんじゃねーよ! しかもここ公共の場だぞ!?


「そっか……」


 ホッとした表情を浮かべる美亜さん。あれ、自分から触って欲しそうなこと言わなかったっけ……もしかして。

 ちょっといたずら心が沸き起こり美亜さんの細い手首を掴んで俺の方にグッと引き寄せてみる。


「っ!?」


 一気に茹でダコのように真っ赤になって口をパクパクさせる。思った以上の反応にさらにいじりたくなってしまった俺はやってしまった。そう、やってしまったのである。

 すっと美亜さんの耳元に口を寄せ、そして……。


「美亜さん、俺を誘惑してるの?」

「あぅっ……」


 かっわいいぃぃぃっ!!!!

 目をうるうるさせて声を漏らす様子が俺の心をくすぐる。もっといじめたいと思ってしまう。


 そこで俺はふと疑問に思った。明らかに男慣れしていない様子なのに、なぜ初対面の俺に胸を触らせたのか。

 しかし、これについて深く考える前に美亜さんが再起動した。


「きょ、響夜くん、そろそろ手を……」

「あ、ごめん」


 ずっと手を掴みっぱなしだったことに気づいて慌てて離す。

 ちょっと俯いて手首をさする様子にもしかして……と恐る恐る聞く。


「ご、ごめん、痛かった?」

「えっ?」


 顔を上げた美亜さんはキョトンとした表情をしていた。なぜか、不思議なことを言われたかのように首をかしげる。


「痛くなかったし、君になら痕が付くくらい強く掴んでもらったほうが、う、嬉しい……な」


 言いながら熱が引いていた頬を再度うっすらと赤く染める。

 いや、なんでそんなに積極的なんですかねぇ!?

 はっきり言おう、美亜さんのドM具合に俺は内心引いていた。初対面だよ俺たち!


「名前もできれば美亜って呼んでほしいな」

「え、呼んでるよね? 美亜さんって」


 何を言いたいのかわからず困惑する。しかし次の言葉で俺は固まってしまった。


「呼び捨てがいいな」

「はっ?」


 もう一度言おう、俺たちがリアルで会うのはこれがである。いくらネットで仲良くしていたといえど、呼び捨てで呼ぶには浅すぎる関係だと思うんだが……。


「えーっと、美亜さん?」

「み・あ」

「美亜s」

「ジー」

「……」


 うん、ジーって口に出してるところが可愛いよね。

 現実逃避にそんなことを考えながらしばらく見つめ合う。先に折れたのは俺だった。


「あーわかった。わかったから姿勢元に戻してくれないか?」

「呼んでみて」


 できれば早く姿勢直して欲しいんだが……背中で手を組んで前かがみになっている様子は色々心臓に悪い。しょうがないから要望を聞く。


「美亜。これでいい?」

「う、うん! えへへ……響夜くんに呼び捨てされちゃった……」

「なんか言った?」

「う、ううん、なんでもないよ!」

「それならいいけど……」


 美亜がなんか呟いたような気がするが、気のせいか。

 俺はあえてあるところから外していた目線をその部分に向けた。


「ところでさ、」

「なぁに?」

「……」


 俺が黙ってを見つめると、俺の視線をたどるようにして美亜も視線を下に向ける。

 俺が見ていたものに気づいた瞬間、美亜は顔をカァーッと赤くした。

 思わず笑みが浮かぶ。


「ブラ、見えてるよ?」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


 バサバサバサっ。その場に美亜の悲鳴が響き渡り、地面をつついていた鳩たちが一斉に飛び立つ。


 あれ、俺はもしかして踏み込んじゃいけない性域(?)に踏み込んでしまったのか……?


















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