落下物
ある日、空から何かが勢いよく降ってきた。
隕石だろうか? 白い煙を上げ、地面にめり込むそれを見て人々はそう思った。
危険かもしれないが、それでも知りたいと思うのが人間。恐る恐る近づくと機械の部品のようなものだとわかった。
人工衛星かロケットの部品が墜落したのだろうか。
人々は、あれこれ意見を言い合ったが、国の研究機関の人間が来たため議論は半ば強制的に終わり、機械の部品らしきものは回収された。
研究所に持ち帰られた部品を見て研究者たちは目を丸くし驚いた。
「これは……見たことがない部品だ。
詳しく調べなければわからないが、恐らく地球で作られたものではないだろう」
研究者たちは寝る間も惜しんで分析に励んだ。もしかしたら地球よりも遥かに文明が進んだ宇宙人の宇宙船の部品で、上手く利用すれば地球の文明の発展に役立てることができると思ったからだ。
しかし解析が進み、残念ながら地球の科学の大きな飛躍にはなりそうにないことがわかった。
だが、欲しいと思ってもそう簡単に手に入るわけではない貴重な物。厳重に保管しつつ、日夜、さらなる発見を求めて分析が続けられた。
そんなある日、また何かの部品らしきものが地球に落下した。
この前よりも一回り大きく、研究者たちも張り切って分析に励む、がどうしたことか、その最中も世界中に何かの部品が落下してきた。
その度に部品は回収され、研究所に運ばれたが研究者たちは曇り顔。
「次々と研究所に部品が運ばれてくるが、どれも似たようなものばかりだな。
この中に価値のあるものはあるんだろうか?」
「そう言うなよ。こんな貴重な物欲しがったって簡単には手に入らないんだから」
「それにしたってある時期から急に増えたな」
「研究しがいがあるってものだ」
「まあな。しかし中に入っていたこのドロッとした液体といい、ただのゴミにしかみえな……」
その時、その場にいた全員の頭にある考えがよぎった。
もしかしたらこれらはただのゴミで、地球は宇宙のゴミ捨て場に指定されたんじゃ……。
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