テイマーとして異世界転生した飼育員はワニチートでスローライフを送りたい

第37話 ビジネス

レオンナンドとの訓練を続けて2週間程がたった

まだまだ細かい魔力コントロールにてこずっていた。

訓練を終えてオレはいつものように昼食の席に着く。

以前オレが作ったマヨネーズは、トランザイル家の食卓に欠かせない存在となっていた。

特に父バルシュは、その味に夢中で、毎回食事のたびに「今日もマヨネーズを頼む」とランシェにリクエストするほどだ。

この世界の初代マヨラーが誕生だ。

この日も、家族全員が揃った食卓で食事をしている中、バルシュが突然提案した。

「ダイ、このマヨネーズだが、王都で商売にしてみるのはどうだ？

これを領の新たな名物にしたいと思っている。」

オレは驚きつつも、王都でのビジネスが成功すれば、いずれトランザイル辺境伯領にとって有益になると感じた。

母メリッサや兄弟たちもこの提案に賛同し、食卓はその話題で盛り上がった。

メリッサはとても嬉しそうに「王都にはたくさんの貴族や商人がいるから、このマヨネーズは必ず流行するわ！」

フレットは優しく「王都でダイが新しい商売を始めるなんて、きっと面白いことになるね！」

ジョージはちょっと羨ましそうに「ダイ、お土産は忘れるなよ！」

家族全員がオレの王都行きを応援してくれていたが、

オレは心の中で何か違和感を抱いた。マヨネーズの商売は良いとして、

なぜバルシュがわざわざ同行すると言い出したのだろうか？

そこには別の理由があるように感じた。

食事が終わった後、バルシュはオレを自室に呼んだ。

バルシュの部屋に入ると、彼は真剣な表情で切り出した。

「ダイ、食事の席では話せなかったが、王都行きにはもう一つ重要な理由がある。」

オレは椅子に座り、バルシュに聞いてみる。

「やはりただのビジネスの話ではないんですね。もう一つの理由とは何でしょう」

バルシュは「うむ」と一息つき続けた。

「お前も知っている通り、ゴロウは『エンシェントドラゴン』だ。

だが、その力の全貌や、今後どのような成長をするのか、まだ分からないことが多すぎる。

そこで、王都でゴロウに関する詳しい情報を集める必要があるんだ。」

すでにゴロウが特別な存在であることは知っていたが、

今日までエンシェントドラゴンに関しての知識はほとんどといっていいほど得られていなかった。

ゴロウは肩に乗りながらも、静かに耳を傾けている。

「父様ゴロウとずっと一緒にいたいです。なので、ゴロウの力が何なのか、

そしてどうすればもっと制御できるのか知りたいと思っていました。」

バルシュは頷き、慎重に言葉を続けた。

「表向きはマヨネーズのビジネスが理由だが、ゴロウの力や過去に関する調査を極秘に進める。

王都には古代魔獣に詳しい学者や文献が揃っている。

だが、エンシェントドラゴンの存在が知られれば、お前たちが狙われる可能性もある。

王都では慎重に動かなければならない。」

オレはその言葉に静かに頷いた。

ゴロウの力がどれほど強大であるかを理解しているからこそ、

その調査が必要であることは明白だった。そして、それが危険を伴うことも理解していた。

「分かりました。ゴロウと一緒にこの先も安全に過ごすために王都に行きたいです！ゴロウもいいかな？」

「いいよー王都って色んなものあるの楽しみ」

「父様、ゴロウも良いと言ってくれています」

バルシュは満足げに頷いた。「そうだ、ダイ。お前が王都で強く賢くなることも重要だが、ゴロウとの絆をさらに強固にするための旅でもあるんだ。

時期は改めて伝える。それまではレオンナンドと訓練を続けておくのだぞ」

「はい、父様」と返事をしてオレは自室に戻った。