第20話 厨房
厨房を覗くと昨日お肉を分けてくれた料理人が何やら困っている様だった。
もしかして昨日のお肉が無いから料理が作れなくなってしまったのではと思い
謝らないとと声をかける。
「あのー、昨日はお肉を分けてくれてありがとうございました。
それで・・・困っているようなのですが、それは僕がお肉を貰っちゃったからですか?」
「こ、これはダイ様、いえ、お肉の事は気にしないでください大丈夫でございます!」
よかった、胸にあった重みが消えた。
「では、何かあったのですか?」
「はい、それが本日の夕食のサラダの味付けに使おうと思っていた果物が
傷んでしまい使えなさそうなのです。」
この家で出される食事はおいしいのだが
素材の味を活かしたものや塩や砂糖、フルーツ由来のお酢等の基本的な調味料での
味付けが多いのだ。
それで内で出てくるサラダ類には軽く塩を振って柑橘系のフルーツのしぼり汁をかけた
味付けだ多いのだ。
とても新鮮でおいしいのだが俺にはちょっと物足りなさを感じていた。
昨日のお礼もかねて提案をした。
「僕が本で見たおいしそうな味付けがあるんだけど
それをサラダに使ったらどうかな?」
「・・・はい、ここにある食材で作れるしたら・・・」
こんな小さい子供の言う事だちゃんとできるか不安だろう
オレは食材と調理方法を伝えるとすぐにそれは出来上がった。
「ダイ様こんな感じでしょうか。この食材をこんな使い方するなんて見たことも聞いたこともありません・・・」
「僕も本で読んだだけだからどうかな?」
うん、見た目はばっちりだ
スプーンでひとすくいして口に運ぶ。
「おいしい!」
濃厚な卵のうま味に爽やかな酸味
これは完ぺきにマヨネーズだ
「ダイ様、私も一口頂いても良いでしょうか。」
「どうぞ、野菜に着けて食べるとあうと思うよ。」
恐る恐る口にはこぶ
「うまい、卵を生で使うことが無かったので
少し怖かったのですが、これはとてもおいしい。
キュウリにつけて食べるととてもあいます。
このレシピは他の者にも教えても良いでしょうか。
「うん、どうぞ」
まぁオレが考えたわけではないし
「ありがとうございます。ダイ様
申し訳ございません。私、お屋敷で料理用を務めさせていただいております
ランシェと申します。今後も食べてみたいものがありましたら
私におっしゃっていただければと思います。
それで、今日は何か御用があっていらっしゃったのですか?」
そうだ、お礼を言いに来たんだった。
「昨日もらったお肉のお礼を言いに来たんだ
そしたら困っているみたいだったから、僕がお肉を貰ったせいかと思って・・・」
「そうだったのですね、お肉は沢山ありますので
いつでもお渡しできますよ。この辺りは狩りが盛んな地域ですので
質の良いお肉が安く手に入るのです!」
「そうか、街から森まで近いもんんね」
「ええ、なのでダイ様も街に行くことがございましたら
是非マーケットを見てみることをお勧めします!」
「はい、ランシェさんありがとうございます。」
オレはランシェと別れ自室に戻った。
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