なんで?どうしてこうなった?
@yoruneco
第1話 4月は白薔薇の憂鬱
突然ですが、魔法で手のひらサイズの人形にされてしまった私は今、親の決めた婚約者の手の中にいる。
文字通り手の中。
左手のひらの上。
なんで?どうしてこうなった!?
春の風が気持ちのよい、うららかな昼下がり、
私は王宮庭園を1人お散歩していた。
幼なじみで婚約者でもある第3王子に会いに来たんだけれど勉強中だかなんだかで会えずに時間つぶし中。
最近こんなんばっかで、なんかモヤる。
彼に避けられているの。
目も合わせないし、態度もよそよそしいし。
好きな子でもできたんじゃないかな。
別にいいし!
幼馴染みなだけだし!
昔は確かに仲良かったけど
今は王立学園の同級生ってだけだし!
ちょっと可愛い系のイケメンで、私好みの顔してて、人懐っこい笑顔がよくって、優しくて勉強もスポーツもまあできて、誰にでも(私以外に)フレンドリーで…。
爽やかなイケメン(大事な事なので2度言いました)なだけだし!
入学までは、狭い範囲だった交遊関係もここにきて一気に広がった。私ばかりと一緒にはいられないよね。
と、去年入学した第2王子の顔が頭に浮かんできた。
聡明で優しく美しいから、元から人気はあった人なのだけど、去年1年ですっかりチャラ男になっちゃったのだ!!
うちの第3王子もそうなっちゃったらどうしよう?!
あー、やっぱりなんかモヤる!
イラッとした私は足元に転がってた小石を思いっきり蹴った。このイラつきを足先にこめて。
一石入魂。
なんでこんなとこに小石があるのよ?危ないのよ!と理不尽な八つ当たり。
石は、蹴った私でも驚くほど鋭く飛んで庭園の垣根の中へ。
『痛ッ!』
『!?』
誰かいた?
慌てて蹴った石の飛んでいった方角に目をこらしたけど誰もいない。
ゆらゆらと薔薇達が風に揺れている。
あれ?空耳かな?
危ない危ない、石を蹴るなんて伯爵令嬢らしくないことをしちゃったよ。まあ、今さらなんだけど。
誰もいなくて良かったよ。
『…誰かと思えばまたあんたなの?白薔薇姫!!』
『…へ?』
地獄の底から響く様な声が石の消えた方から聞こえた。怒りのこもった声。冷たい空気がぶわっと広がる。
え?え?誰もいないよね?
確かに私は白薔薇姫って呼ばれては、いる。
母親が白薔薇伯爵だからね。
でも、また?またって?
私、前に何かした?
声がする方に向かって
『人違いじゃ…?』
『問答無用!@△●※◇!』
何か聞き取れない言葉と同時に小さな稲妻みたいな光が真っ直ぐこっちにくる!
『!』
私の口から声にならない声がでて、全身がしびれた。
感電?した?
『悪がき姫にお仕置きだ!しばらくそこで静かにしてな!!』
姿は見えず声だけの人は、(女の人?)そう言うと気配を消した。
なんなんだ?
雷に打たれた様な私は、体の自由がきかない。
顔に芝生の感触がある。
うつ伏せに倒れちゃったみたい。
感電しても気を失ったりはしないのか~、とかのんきに考えてる。
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