第106話 天空のBBQ
日曜日、天空のカフェに先輩・留美さん・松本君・美由紀ちゃん・夏菜ちゃんがバーベキューに来ていた。綾乃は忙しそうに働いている。
「綾乃さん、まだ土日はアルバイトしてるんですねえ」松本君は不思議そうに見ている。
「新さんもバイトしてるって本当?」美由紀ちゃんが聞いた。
「ああ、バーベキューの人が多い時は炉の準備や炭の火起こしなんかをやってるよ、時給1000円も貰えるんだよ」俺は微笑んだ。
「時給1000円ですか……」松本君はクスクスと笑った。
「綾乃は本当にいい人を見つけたわねえ、やっぱり私新さんの愛人になろう」
「ダメですう!私が初めに愛人になる約束ですから」美由紀ちゃんが膨れた。
「新はこんなにモテるヤツじゃあなかったんだけどなあ」先輩はしみじみと俺を見た。
「何ですか?先輩?」
「人って変わるんだなあ……」先輩が漏らす。
「綾乃ちゃんが変えたのよ、新くんを」留美さんが言った。
一同は妙に納得した。
そこへ一台の車が入って来た。
「ケンイチ!こっちこっち!」松本君が手を振った。
賢一は女の子を連れてやって来た。
「あれっ?広報の前原さん?」
「すみません突然お邪魔して、広報の前原あかりです、どうしてもポンカンさんにお礼が言いたくて無理を言って連れて来てもらいました」
見るととても可愛い幼さが残った顔に、存在感のある胸をした女の子だ。
賢一君は「前原さんです」そう言って俺に紹介した。
「別にお礼とかいらないのに……」にこやかに彼女を見た。
「えっ……ポンカンさんって言う人が増えた」美由紀ちゃんは目をパチパチさせている。
「どうぞ、良かったらバーベキューに参加して」察しのいい留美さんはあかりちゃんを呼んで飲み物とお皿を用意してくれた。
賢一君も「どうも」と言ってあかりちゃんの横に座る。
綾乃ちゃんはやっと仕事を一段落させて参加した。
「おやっ!……?、確か……広報だっけ……あかりちゃんじゃない?」
「綾乃さん、覚えていてくれたんですか?……嬉しいです」
「何でここに?」
「はい、ポンカンさんにお礼が言いたくて」
「えっ……ポンカ」
「いいじゃないかそんなこと、俺が話を遮ると」それを見た賢一君は嬉しそうにした。
それを見た綾乃は「そうか……そう言うこと……賢一さんの親しい人なのね」そう言って上目遣いで賢一君を見た。
「違います!そう言う関係じゃありません」賢一君は真っ赤な顔になっている。
それを見たあかりちゃんも真っ赤になった。
「いいのよ隠さなくても」綾乃はニコニコと二人を見ている。
「綾乃ちゃん、憶測で簡単に物を言っちゃあダメですよ」俺は綾乃ちゃんをたしなめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます