第96話 “たかじょ”騒動
隣のマーケティング課で俺は女子3人に図面を見ながら説明していた。
「この食堂のカウンターの横に新商品の試食コーナーを作ってアンケート用紙などを置くんだけど、アンケートに答えるとメニューが10%OFFになるのはどうだろう?」
「そうね、それなら男子も参加してくれるかもね」綾乃ちゃんが頷く。
「じゃあその辺りも食堂のプランに入れて進めてよ」留美さんも納得してくれたようだ。
「さすが、意識のたかい『たかじょ』さん達は理解が早くて助かるなあ」ニヤニヤとしてしまう。
綾乃ちゃんと美由紀ちゃんも目が泳いでいる。それを見た留美さんは呆れ顔で釘を刺した。
「ねえ仲のいいお二人さん、会社の中でみんなを巻き込んで遊ぶのはやめなさい!」
俺は舌を出して肩をすくめた。
「何!新さん『たかじょ』を知ってるの?」
「はい!やる事をしっかりやれば自由な校風の『高峰女子校』でーす!」
「えっ……誰から聞いたの?」
「夏菜さんです」
「夏菜???……えっ……私のクラスメートだった木村夏菜?」
「はい、そうですけど」
「何で夏菜を知ってるの?どこで会ったの?……どういう事?」
「この前とある場所でお会いしました」
「どこよ!!!」
「それは社長命令で言えません」
「何それ……で何を話したの?」
「大した話はしてません……ただ……」
「ただ何!!」
「ただ……愛人にしてって言われました」
「…………………………」綾乃ちゃんは絶句した。
「何それ……また変なライバルが現れた、愛人は私だけでいいのに」美由紀ちゃんが頬をふくらませる。
「私は愛人を許可した覚えはないわよ!まだ結婚もできてないのに」今度は綾乃ちゃんの頬がふくれる。
「だから会社で遊ぶなって言ってるでしょう!」留美さんは机を何度も叩いた。
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