第91話 絶景の天空カフェ
別荘に戻ると翌朝私は天空のカフェへ出勤する。土日はまだアルバイトを続けていた。新さんもテラスの席でキーボードをたたいている。
「綾乃ちゃん、ずいぶん忙しそうだけど大丈夫?」千草さんが心配そうに聞いてくる。
「はい大丈夫です、ただパパの会社のことがのしかかってくる気がして、少し気が重いだけです」
「そう……大変ね、でもそれはきっと綾乃ちゃんや新君が必要とされているからだと思うわ、とっても幸せな事じゃないの」
「えっ……そうですか?」
「私は元々音楽をやってて、この店をやる気なんて全く無かったのよ、でもね、ちまきシスターズの皆さんをはじめ地域の人たちがとっても大事にしてくれるの、来てくれてありがとうって言ってくれたわ、だからこの仕事を頑張ろうって思ったし、必要とされる事はとても幸せなことよ」
「そうか……そうですよね、今までパパの会社を重荷だと感じていたけど、必要とされていると思うと嬉しい事ですよね」
「そうよ、重荷じゃなくて嬉しい事よ」
「千草さん、ありがとうございます、なんか元気になれる気がして来ました」
「それは良かったわ、この天空カフェは元気になれる場所だからね」
「そうなんですね」
「見て、この景色……いつも机の上やパソコンの画面とか近くの物ばかり見ている人にはここの景色はとても気分転換にになるわ、そしてメニューも出来るだけオリジナルの物を用意してるの、他にない新しい美味しい物を食べるとちょっと嬉しくなって元気が出ると思わない?」
「なるほど……それが天空のカフェのおもてなしなんですね」
「そう、ここで元気を吸収して帰ってもらうのよ」
「私もこの景色を見たら気持ちが晴れてきて元気になった気がします」
私はにこやかにお客さんの対応をした。
新さんはテラスのテーブルでひたすらキーボードをたたいている。
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