第71話 将輝の秘密
その夜綾乃ちゃんはパパに嬉しそうに報告した。
『そうか、良かったね綾乃』
「うん」
『新くんそんなに気を使わなくてもいいのに……近々二人で飲みたいと伝えてくれないか?』
「えっ……何?、意味がわかんない???パパに気を遣ってプロポーズしたの?」
『違うよ、綾乃が好きだからプロポーズしたんだろう、だから新しい息子と一杯飲ませて欲しいだけさ、パパも嬉しいんだよ綾乃』
「う……うん、なんか引っかかるけど……まあいいか、伝えとくよ」
『ありがとう、綾乃はいい人をつかまえたね』
「パパもそう思う?、私もそう思うんだけどさ、でも私のことをヘタレとか言うのよ!」
「何?……プッ……じゃあよろしく」ブチッ………………
「あれっ……今パパ吹き出してなかった?……気のせい?」スマホを置いた。
綾乃ちゃんを見て何となく笑ってしまった。
俺は高崎の寿司屋に来ている。
「ここは私の親友がやってるお店でね、本当に親しい人とだけ来るお店なんだよ」
「そんなところに私がお邪魔していいんでしょうか?」
「当然だろう、君は私の息子になる訳だからね」
「綾乃さんと結婚することは、そう言うことなんですね……」
お酒と料理が運ばれて来る。
「この店は全てお任せなんだ」そう言ってお酒を注いだ。
「とりあえず婚約おめでとう」
「ありがとうございます、でもそれは綾乃さんが一緒の時がいいと思います」
「そうだね、二人で乾杯したと言ったら綾乃が怒るだろうね」
「はい」二人は笑った。
「さあ遠慮なく食べてくれ」
「はい、いただきます」手を合わせて箸を取る。
「どうして急にプロポーズしたんだい」
「はい……私が思ったのは、ミホさんはまだ若いですし、社長の血を分けたお子さんができる可能性があると思いました」
「やはりそう思ったのか……」
「はい」
「新くん、私は子供の頃の病気が原因で子供はできないいんだよ」
「えっ」箸を止めて将暉社長を見る。
「その事はミホ君も知っている」
「そうなんですか……」
「だから綾乃が娘になったときはとても嬉しかった」
俺は料理を少し皿に取った。
「綾乃はあれでしっかりしたところもあってね、それが頼もしくもあった」
「そうですね、やる時はやるって感じですね」
「綾乃さんの肩にかかる物が少しでも軽くならないかと思ったのですが」
「すまないねえ……軽くしてあげられなくて……」
「いえ、勝手に思っただけですので」
将暉社長は少し寂しそうにお酒をぐっと飲んだ。
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